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「企業は、従業員の“心の健康”にどう向き合っていけばいいのか?」
これは、ストレス社会といわれる時代に生きる、私たちの大きな課題です。
そんな中、『ストレスチェック制度』は2015年12月1日から、常時50人以上の労働者を使用する事業場に義務付けられました。
50人未満の事業場には、まだストレスチェックの実施義務はありませんが、「健康経営優良法人認定制度」に申請する中小企業は、認定を受けるためにストレスチェックは必須項目なのか、その他の認定要件も含めて、いま一度理解しておく必要があります。

Sailing Dayの羊一です。
今回は、「健康経営優良法人認定制度」はストレスチェックが必須なのか、その他たくさんある認定要件(中小規模法人部門)についても分かりやすく説明していきます。

結論から言うと、中小規模法人部門のストレスチェックは2025年現在、必須項目ではありません。
ですが、健康経営優良法人の認定、特に「ブライト500」や「ネクストブライト1000」を目指すなら、導入しておいた方が圧倒的に有利です。
なぜなら、ストレスチェックは認定要件の評価項目①〜③のうち2項目以上達成する、の中に含まれているからです。
【評価項目】
①定期健診受診率(実質100%)
②受診勧奨の取り組み
③50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施

つまり、この①〜③の項目のうち2つ以上はやらなければいけないということです。
また、「ブライト500」や「ネクストブライト1000」に入りたい場合は上記①〜③含めた15項目のうち13項目以上達成しなければならないので、ストレスチェックは導入しておいた方がいいでしょう。
そもそも、「健康経営優良法人認定制度」はどんな制度なのか。
もう一度確認しておきましょう。
「健康経営優良法人認定制度」は経済産業省が健康経営の取り組みをする企業を応援するために、2016年に作られた評価制度です。
健康経営優良法人認定制度とは、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的な評価を受けることができる環境を整備することを目的に、日本健康会議が認定する顕彰制度です。
本制度では、大規模の企業等を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業等を対象とした「中小規模法人部門」の2つの部門を設けています。
「健康経営優良法人」に認定されると、「健康経営優良法人」ロゴマークの使用が可能となる他、自治体や金融機関においてさまざまなインセンティブが受けられます。

つまり、「外部からだと分かりにくい健康経営を“見える化”して、社会から高い評価を得られるようにしよう」ということ。
自治体・金融機関からの優遇や、採用力強化へつながるなど、さまざまなメリットがあります。

健康経営優良法人に認定されると企業にとって様々なメリットがあります。
①企業イメージUP
認定ロゴマークの使用が可能になり、取引先や求職者からの評価UPが期待できる。
②人材確保・定着
従業員の満足度UPによる離職防止、優秀な人材の獲得に繋がる。また、採用活動のアピールポイントになり、応募率の増加が見込める。
③生産性UP
従業員の健康状態が改善し、集中力や業務効率がUPして、企業全体の生産性UPに貢献する。
④金銭面のメリット
金融機関による低利融資、保険会社による保険料割引など、インセンティブが受けられる。
⑤医療費・労災コスト削減
日頃からの健康づくりや予防意識で従業員の病気やケガが減り、医療費や社会保険料の削減、労災リスクも減る。

周りからのイメージアップだけではなく、会社の売り上げUPや見えないコストの削減につながります。

「健康経営優良法人2025」(中小規模法人部門)の申請期間は2024年8月19日〜2024年10月18日でした。
認定結果は、2025年3月10日に発表されています。毎年その時期に行われる予定です。

申請項目は大きく分けると5項目あります⬇️
1.経営理念・方針
2.組織体制
3.制度・施策実行
4.評価・改善
5.法令尊守
また、その中でも細かく質問項目があり、必須項目を見ていくと…。⬇️
【必須項目】
◯健康宣言の社内外への発信(Q6)
(健康宣言しているよーとホームページに載せたり、社内メールなどで発信する)
◯経営者自身の健診受診(Q7)
(社長自らが健康診断を受ける)
◯健康づくり担当者の設置(Q8)
(担当者がどのようなことを実施しているかも問われます)
◯(協会けんぽの求めに応じて)40歳以上の従業員の健診データの提供(Q9)
(40歳以上の社員の健康診断のデータを提出できる体制を作っておく)
◯健康経営の具体的な推進計画(Q10)
(どんな目標を立てるか、どうやって実行するか、いつまでにやるかを具体的に決めておくこと)
◯受動喫煙対策に関する取り組み(Q28)
(タバコを吸わない人がタバコの煙で健康を害さないように、ちゃんと対策しているか)
◯健康経営の取り組みに対する評価・改善(Q29)
(取り組みの結果をふり返る、うまくいかなかったらやり方を工夫する。こういったPDCAサイクル、計画→実行→評価→改善を回すことが大事)

この必須項目は確実にクリアしておきましょう!
その他の項目には、①〜⑮までの項目があり、それぞれ「◯項目以上達成する」という条件があります。
①定期健診受診率(実質100%)
②受診勧奨の取り組み
③50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施
①〜③のうち2項目以上達成する

④管理職または従業員に対する教育機会の設定
⑤適切な働きかた実現に向けた取り組み
⑥コミュニケーションの促進に向けた取り組み
⑦私病等に関する復職・両立支援の取り組み(⑬以外)
④〜⑦のうち1項目以上達成する

「仕事と家庭生活の両立に向けた環境づくりのためにどのような取り組みを行っていますか?」などの回答が求められます。
⑧保健指導の実施または特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み
⑨食生活の改善に向けた取り組み
⑩運動機会の増進に向けた取り組み
⑪女性の健康保持・増進に向けた取り組み
⑫長時間労働者への対応に関する取り組み
⑬メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み
⑭感染症予防に関する取り組み
⑮喫煙率低下に向けた取り組み
⑧〜⑮のうち4項目以上達成する

ちなみに、ブライト500・ネクストブライト1000は①〜⑮のうち13項目以上達成することが条件です。
1つでも多く達成できるようにしましょう。
◎ストレスチェックは「中小規模法人部門」で必須ではない(2025年度現在)。ただし、ブライト500・ネクストブライト1000を目指すなら実施しておく方が有利。
◎ストレスチェックは、評価項目①〜③のうちの1つに含まれ、2項目以上の達成が求められる。
◎健康経営優良法人認定制度は、企業の健康経営の取り組みを見える化し、社会的評価を高める制度。
◎認定されると、企業イメージ向上・採用強化・生産性アップ・融資の優遇など多くのメリットがある。
【必須項目】
健康宣言発信・経営者健診受診・担当者設置・健診データ提供・推進計画・受動喫煙対策・評価改善の7つ。
【その他項目】
①〜⑮まであり、所定数以上の達成が必要(ストレスチェックもこの中に含まれる)。
◎ブライト500・ネクストブライト1000に選ばれるには、その他項目の13項目以上達成が必要。

「健康経営優良法人」の認定に、ストレスチェックはいま現在必須項目ではありませんが、導入しておくに越したことはない。ということです。
項目をなるべく多く達成し、「健康経営優良法人」の認定目指して頑張りましょう!