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従業員の健康を大切にできない会社は、成長しない。
どれだけ立派な目標を掲げても、従業員の心と体が疲れきっていては、組織は成長しません。
健康を守り、力を引き出す。それが、これからの経営者に求められる本当の力です。

こんにちは、Sailing Dayの羊一です。
健康は、「心と体」の両方が整ってはじめて本当の健康と言えます。
今回は、健康経営の中でもとくに重要なメンタルヘルス対策に着目して、どんな取り組みが必要なのか解説していきます。
1. メンタルヘルスとは?
健康経営における「メンタルヘルス」とは、社員のこころの健康を守り、働きやすい環境をつくる取り組みのことです。
簡単に言うと、「こころの健康」です。身体と同じように、心も調子を崩すことがあります。
「報連相が減った」
「朝の出社が遅れがち」
「ちょっとしたことでイライラするようになった」
ストレスが溜まると、このような変化が出ることがあります。
(1)健康経営に「メンタルヘルス」が欠かせない理由
健康経営というと、食事や運動など体の健康に目が向きがちですが、「心の健康=メンタルヘルス」も同じくらい大切です。なぜなら、心の状態が社員の働き方や職場全体の雰囲気に大きく影響するからです。
たとえば、メンタルヘルスにしっかり取り組むことで、こんな良いことがあります。
◎社員の離職や休職を防げる
ストレスや悩みが積み重なると、心の調子を崩して長く休むことがあります。早めに気づいて対策することで、こうした長期離脱や退職を防ぐことができます。
◎仕事への集中力やチーム力が高まる
気持ちに余裕があると、自然とまわりへの思いやりが生まれたり、前向きに仕事に取り組めたりします。結果として、職場のチームワークも良くなっていきます。
◎企業のイメージアップにつながる
心も体も整えやすい職場は「ここで働きたい」「ずっと働き続けたい」と思ってもらいやすくなります。採用や人材の定着にも良い影響があるのです。

社員が安心して働ける環境をつくることは、会社にとっても大きなメリットになりますよ。
(2)メンタルヘルスの具体例
心の健康=メンタルヘルスの維持も、健康経営の大事な柱。下記のような具体例があります。
ストレスチェックの実施
社員のストレス度合いを確認
相談体制の整備
産業医や外部カウンセラーへの相談窓口の設置など
メンタル不調の予防・早期発見
面談やアンケートなどで兆候を見逃さない
職場の人間関係や働き方の見直し
ハラスメント防止研修や、柔軟な勤務制度の導入
休職者の職場復帰支援
スムーズに戻れるように、段階的な復職プランを用意
(3)休みやすさ・働きやすさの追求
ワークライフバランスって聞いたことありますか?
ワークライフバランスとは、仕事(ワーク)と生活(ライフ)の調和(バランス)をとることです。
仕事も家庭・育児・趣味・健康・地域活動などの私生活もどれも大切にして、充実した日々を過ごしたい!そう思う人は多いです。
そのため、下記に注目している企業も多いです。
◎有給休暇取得の促進
取得しやすい雰囲気づくり、取得目標の設定、上司による取得奨励を目指す。
◎育児・介護との両立支援
育児短時間勤務、時間単位の有給取得、時差出勤などの柔軟制度を設ける。
◎テレワーク・フレックスタイム
働く場所や時間を柔軟にする。

テレワークが浸透した今、週に1度でも導入されていると、通勤時間がなくなり心に余裕が生まれます。
メンタルヘルスの具体例と休みやすさ・働きやすさについてあげさせていただきましたが、「うちは社員数も少ないし、そこまで手が回らないよ」という声もよく聞きます。
2. 中小企業におけるメンタルヘルスケア4つのポイント
実は、小さな会社だからこそできる、心のケアの工夫があります。
①担当者を決めて「誰が見るか」を明確に
まずは、社員のこころの健康に目を配る担当者を1人決めることからスタートしよう。
専門知識がなくても大丈夫。人事や労務、あるいは日ごろ社員とよく話している方が担当になるだけで、「誰も見ていない」状態は防げます。
②相談しやすい雰囲気づくり
制度やルールよりも大事なのは、「困ったら話せる」安心感。
ふだんの雑談やランチの時間など、ちょっとした場面で「最近どう?」と声をかけるだけでも、社員は心強く感じます。
③プライバシー配慮
悩みごとを話してくれたとき、その内容を他の社員に話さないことがとても大切。
「社内に相談しても大丈夫」と思ってもらうためには、守秘義務を守る姿勢を明確にしましょう。
④外部支援の活用
もし深刻な状態に気づいたら、一人で抱え込まず、外部機関に相談することが大切。
地域産業保健センター(無料)や、厚生労働省の「こころの耳」など、小規模事業者向けの支援もあります。
従業員50人未満の中小企業でも、メンタルヘルス対策は企業の持続的な成長と社員の健康維持に不可欠です。法的義務は緩やかですが、積極的な取り組みが求められます。

外部支援を活用し、社内体制を整備することで、働きやすい職場環境を実現しましょう。
3. 健康経営優良認定法人申請時のチェック項目
経済産業省が認定している健康経営優良法人認定制度には、申請時、下記の健康経営のチェック項目があります。
1.メンタルヘルスについての相談窓口の設置および周知を行っている
2.ウェアラブルデバイスにより従業員自身のセルフチェック等を支援している
3.マインドフルネス等の実践支援を行っている(実施場所や実施時間の確保等)
4.従業員にとって安心かつ快適な職場環境の整備について管理職を評価・教育する仕組みがある(部下による360度評価制度等)
5.メンタルヘルスについての外部相談窓口の活用および周知を行っている
6.従業員に対する定期的な面談・声かけを行っている
7.不調者に対して外部EAP(従業員支援プログラム)機関等と連携した復職サポート体制を構築している
8.不調者に対してリワークプログラム(認知行動療法等)の(社外での)提供を行っている
9.取引先等他社や顧客等からのハラスメントに関する対策を明文化し社内周知を行っている
10.特に行っていない ⇒評価項目不適合
(1)メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み 参考企業例
塩野義製薬株式会社
社員のウェルビーイングと職場の持続的な成長を目指し、多面的な健康経営に積極的に取り組んでいます。
◎就業規則において、快適な職場環境の実現と従業員の安全・健康の確保を明記。組織全体で健康保持・増進に取り組む姿勢を明文化している。(該当項目:④)
◎従業員サーベイを通じて職場課題を把握し、職場環境の改善やリテラシー向上に活用。健康保険組合とも連携し、継続的な分析と対策を実施している。(該当項目:④⑩)
◎在宅勤務制度・フレックス勤務制度・選択週休3日制など、多様な働き方を実現。働きやすさと心身の健康の両立を支援している。(該当項目:④)
◎エンゲージメントサーベイを活用し、部署ごとに制度見直しや改善の成果を評価・反映。快適な職場づくりを継続的に行っている。(該当項目:④)
(参考:塩野義製薬株式会社 HP より)
健康経営は“コスト”ではなく、長く強く続く会社をつくるための戦略です。
メンタルヘルスの取り組みも、できることから少しずつやっていきましょう。

取り組むことで、従業員のメンタルヘルス向上や会社の魅力を自然と引き上げてくれます。
(2)今からできることリスト

ここからは健康経営優良法人の申請時に役立つ『今からできること』を具体的にご紹介します!
1.メンタルヘルスについての相談窓口の設置および周知を行っている
▶︎ 社内の人事・上司・産業医を窓口に設定し、相談先をメールや掲示板で明示
▶︎ 月1回の相談日や「匿名で相談できるボックス」の設置も有効
2.ウェアラブルデバイスにより従業員自身のセルフチェック等を支援している
▶︎ 健康保険組合や自治体の無料キャンペーンを活用して導入
▶︎ 無料アプリ(Appleヘルスケア、Google Fitなど)を紹介し、体調管理を促進
3.マインドフルネス等の実践支援を行っている(実施場所や実施時間の確保等)
▶︎ 昼休みの5分間リラックスタイムを設け、呼吸法やストレッチを共有
▶︎ 簡単な動画(YouTubeなど)を社内共有ツールで紹介

4.従業員にとって安心かつ快適な職場環境の整備について管理職を評価・教育する仕組みがある(部下による360度評価制度等)
▶︎ 管理職向けに「職場の雰囲気づくり」に関するミニ研修を実施
▶︎ 年1回の匿名アンケート(部下から上司へのフィードバック)を取り入れる
5.メンタルヘルスについての外部相談窓口の活用および周知を行っている
▶︎ 社内報やポスターで「いつでも相談できる」体制を見える化する
6.従業員に対する定期的な面談・声かけを行っている
▶︎ 上司による年2回の1on1面談を制度化
▶︎ 朝礼や日報コメントを活用した声かけを意識的に実施
7.不調者に対して外部EAP(従業員支援プログラム)機関等と連携した復職サポート体制を構築している
▶︎ 不調者が出た際のフロー(面談→復職プラン→フォロー)を文書化
▶︎ 社労士や地域の医療機関との連携も検討
8.不調者に対してリワークプログラム(認知行動療法等)の(社外での)提供を行っている
▶︎ 公的支援機関(地域障害者職業センターなど)を紹介・連携を行う
▶︎ 必要に応じて社外プログラムを産業医・本人と調整して提供する
9.取引先等他社や顧客等からのハラスメントに関する対策を明文化し社内周知を行っている
▶︎ 就業規則に「社内外からのハラスメント防止条項」を盛り込む
▶︎ 新入社員・管理職研修で、顧客・取引先からのハラスメントも取り上げる
(3)申請にあたり保存しておくべきデータ
健康経営優良法人の申請に際しては、申請内容の正確性と信頼性を確保するため、申請期間の最終日から2年間、申請内容を裏付ける資料の保存が義務付けられています。
「メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み」では、下記のデータが求められる場合があるので、用意しておきましょう。
メンタルヘルス不調者に対する相談窓口の設置を示す資料
もしくは
メンタルヘルス不調者への対応に関する社内ルール・制度が明文化された資料 等
担当者は、しっかり資料をまとめておきましょう。
データ類は、申請期間最終日から2年間保存し、当該資料の提出を求められた場合には1週間以内に対応しましょう。
4. まとめ
◎メンタルヘルスは健康経営の大切な柱
▶︎社員の「こころの健康」を守ることが、働きやすさにつながる
◎社員の心の不調は早期発見と予防がカギ
▶︎放置せず、日常的な声かけや小さな変化に気づくことが重要
◎取り組みの例
▶︎週1のミニ面談/1on1、気軽なリフレッシュタイム、相談体制の整備など
◎中小企業でもできる工夫がある
▶︎担当者を決める、相談しやすい空気づくり、守秘義務の配慮、外部支援の活用
◎健康経営はコストではなく未来への投資
▶︎社員の安心は、定着率や企業イメージ向上にも直結
◎小さな一歩が、会社と社員の笑顔につながる!
▶︎まずは「雑談からの声かけ」から始めてみよう