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現代の企業で働く多くの人が悩んでいる「睡眠不足」。
睡眠不足は、疲れや集中力低下といった個人レベルの問題に留まらず、生産性の低下や経済的な損失といった形で企業全体に広がります。
2021年に経済産業省が、健康経営の認定制度に「睡眠」に関する評価項目を加えたことで、働く人々の健康をサポートする施策の一つとして「睡眠改善」が注目されるようになりました。
こんにちは、Sailing Dayの羊一です。今日は、健康経営の中でも注目されている「睡眠」について解説していきます。
社員の睡眠は、企業のパフォーマンスを支える大切な要因です。
社員が質の良い睡眠を取れている企業ほど生産性が高く、職場の雰囲気も良好だと健康経営を行なっている企業のデータからもわかっています。
日本の平均睡眠時間は「7時間22分」と世界的に見ても短い水準にあります。
さらに、2019年の国民健康・栄養調査報告によると、40-49歳の1日の平均睡眠時間で、一番回答が多かったのは「5時間以上6時間未満」(36.5%)でした。もともと少ない睡眠時間が、働き盛り世代ではさらに少なくなっているのが現状です。
この結果、社員の健康やパフォーマンスに悪影響を及ぼすことも少なくありません。
このため、企業が戦略的に睡眠改善に取り組むことが、経済的効果をもたらす健康経営には欠かせないのです。
「健康経営」で睡眠が注目されるのは、睡眠が健康と直結しているからです。
睡眠不足により、出勤していても体調がイマイチな状態は、企業にとって大きな損失要因となります。
睡眠不足の影響による経済損失が他の健康リスクと比べても大きいことが、経済産業省のガイドラインからもわかっています。
健康経営を推進するうえで睡眠改善を重視することは、社員の健康を守り、企業全体の生産性を上げるために非常に重要な施策なのです。
睡眠改善は、企業がすぐに取り組める健康経営の一つです。
まず、睡眠状況の把握から始め、次に改善方法を導入しやすい範囲から少しずつ取り組んでいくことがおすすめです。
こんな取り組みはいかがでしょうか?
◎定期的な睡眠計測とフィードバックの実施
スリープマイスターなどアプリを使っての睡眠計測を推奨してみましょう。社内でデータ共有などすると、しっかり睡眠を取らないと!と睡眠に対するモチベーションも変わります。
◎就寝前にリラックスできる環境の提案
睡眠前にノンカフェインのお茶を飲むと、身体も温まり、リラックスできます。定期的にお茶を配布することで、リラックス効果を高め、就寝前の習慣化をサポートできます。
◎睡眠の質向上に役立つ情報の提供
働いていると忙しくなかなか自分では情報収集できません。給料明細と一緒に役立つ情報を提供すると購読率も上がりそうですね!
睡眠改善を企業全体で推進するために、リモートワークやフレックスタイム制度を活用し、柔軟に睡眠時間を確保できる環境を整備することも一つの方法です。
その日だけたくさん眠ればいいというわけではありませんが、睡眠はしっかり摂りましょう!毎日必要な睡眠時間を取れるよう心がけが大切です。
また、定期的な睡眠健康に関するセミナーなど、社員が自分の睡眠を意識しやすくなります。こうした制度を取り入れることで、企業としての睡眠改善への姿勢を示し、従業員の健康意識も高めることができます。
3つの企業を紹介しますね!
この会社は、なんと昼休みが3時間あるそうです。
勤務時間は、通常 9:00~20:00なのですが、13:00~16:00をシエスタと呼び、長い休憩時間は、昼寝をしても、娯楽をしても、トレーニングしても、何をしてもOKだそうです。昼休みを有効的に使えますね!
業績はしっかりと伸び続けているそうで、代表の中田社長は「我々の仕事はアイデアと集中力が必要な仕事が中心。心身ともにリフレッシュして、仕事に着手することでより良い仕事をしてもらうことが最も重要!」と考えているそうです。
ちなみに水曜日は、シエスタなしの9:00~18:00が勤務時間だそうで、週に一度早く帰れる日があるのもいいですね!
この会社では、従業員を対象とした健康調査を実施したところ「睡眠の質が悪い」と感じている者の割合が50%を超えていたそうです。
健康調査の結果を分析したところ、運動不足と睡眠の質との相関性が見られたため、運動施策を実施することで睡眠の質を向上させるプロジェクトを立ち上げました。 全従業員が5チームに分かれ、チーム対抗戦で「一日平均8,000歩」を目指す歩数 チャレンジやストレッチ施策を実施したそうです。
歩数チャレンジは全チームが目標をクリアし、目標に対する全社達成率は109% !
実施前(6月)と実施後(10月)の健康調査の結果、 81%が「運動習慣に改善が見られた」と回答。睡眠の質の改善とともに運動習慣 についても改善が確認できたそうです。
「睡眠の質が悪い」と感じている人の割合も28.4%に減少したそうです。
この会社では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の影響による「交通事故リスク」「労働災害リスク」「生産性の低下」低減に向け、法人契約する保険会社の「SAS予兆チェックサービス」を全従業員に発信し、健康管理と健康増進に活用しているそうです。
最近、仮眠を推奨している企業も多くなっていますが、三菱知所株式会社は、2018年1月の新本社への移転を機に、仮眠室を新設されたそうです。
仮眠室は、午後の生産性を高める目的で導入したそうですが、実際に運用して知見やノウハウを集め、顧客への提案やオフィスビルの商品企画にも生かしたいという思いが込められています。
導入にあたり、仮眠制度をつくり、昼休憩1時間のほかに、30分の休憩の取得が可能にしたそうで、新しい試みということで社員に多少のとまどいも見られ、始めは利用者が少なかったそうです。
ですが、社員による仮眠の効果検証実験を行ったことをきっかけに、社内の認知・関心が高まり、仮眠室の稼働率は上がってきたとのことです。
利用の仕方には特徴があり、「男性は、長時間働く日などに、午後の仮眠を効果的に取り入れている傾向です。女性は、妊娠中などで体調が優れないときの休憩に利用することもあるようです。上司に申請する必要がないため、社員が気軽に利用できる環境が整っており、ストレスを感じずに休息を取ることが可能です。
仮眠の他にも体調が優れない時に使えるのはありがたいですね。そして、30分の小休憩制度があるので、安心して使えますね!
今回の記事では、健康経営における「睡眠改善」の重要性について解説しました。社員の睡眠不足は個人だけでなく、企業全体の生産性低下や経済的損失にもつながります。2021年から経済産業省が健康経営の認定項目に「睡眠」を追加したことで、睡眠改善が注目されています。
特にスリープテックの活用や柔軟な就業制度の導入は、睡眠改善に効果的です。睡眠の質を向上させることで、企業のパフォーマンス向上や社員の健康維持が実現可能です。この記事を参考に、貴社でも睡眠改善に取り組んでみてください。