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健康経営優良法人を目指すために『健康づくり担当者を設置』する必要があることをご存知ですか?
これは認定要件のひとつで、必ずやらなければならない必須項目です。
「でも、担当者を設置って具体的に何をするの?」と戸惑う方も多いです。

Sailing Dayの羊一です。
今回は、健康づくり担当者の設置がなぜ必要なのか、どんな役割を担うのか、そしてスムーズに設置する方法をわかりやすく解説します。
1. 健康づくり担当者の設置とは?
『健康づくり担当者の設置』は、簡単に言うと…
【従業員の健康を守る取り組みをする担当者を決めてくださいね】というルールです。
健康経営施策の立案・実行支援や、経営者、産業医、協会けんぽなどの保険者への適切な報告、連絡、相談などをおこないます。
健康経営優良法人の認定を受けるためには、健康づくり担当者を職場に置いていることが必ず必要です。

(1)健康づくり担当者の役割

健康づくり担当者は、幅広く重要な役割を任されています。
例えば…
◎職場内の健康施策を考え実行する
◎産業医や保健師と連携して社員の健康課題を把握する
◎健康診断や保健指導の予約や連絡など実務を担当
◎特定健診・特定保健指導の窓口になる
こうした業務を通じて、健康づくり担当者は職場全体の健康の土台を支える存在となります。
従業員一人ひとりが安心して働ける環境をつくるためには、担当者の細やかな気配りや、社内外とのスムーズな連携が欠かせません。
「健康経営優良法人」の認定を目指すなら、まずはこの担当者の役割をしっかり理解し、適切に設置・運用していくことがスタートとなります。

では、実際にどんな人を健康づくり担当者に任命したらいいのか、見ていきましょう!
2. どんな人を健康作り担当者にしたらいい?
健康づくり担当者になるために特別な資格や研修は不要ですが、「誰でもいい」わけではなく向いている人にはいくつかの共通点があります。
(1)担当者に向いている人の特徴
◎人事・総務部門にいる人
健康診断や福利厚生に関する実務と自然にリンクできるため、スムーズに対応できる。
◎社内コミュニケーションが得意な人
従業員への案内や声がけ、参加促進など「伝える力」が求められるため、コミュニケーション能力が活かされる。
◎健康に関心がある人・生活習慣を気にしている人
自分自身の健康意識が高い人は、他人にも自然と健康行動を広められる。
◎コツコツ続けるのが得意な人
健康経営はすぐに成果が出るものではないので、地道な継続力が求められる。

つまり、人と関わるのが得意でコツコツ取り組める社内で信頼されている人が向いていいます!
(2)健康づくり担当者は何人必要?
健康経営優良法人の認定要件では『健康づくり担当者の設置』が求められていますが、人数についての明確な基準は定められていません。
1人でもOKですし、1人で大変な場合は複数人でチーム体制にするのもおすすめです。

大切なのは、会社の規模に合わせて人数を設定をし、だれがどういう業務を担当しているか,
役割や活動実績を明確にしておくことがポイントです。

3. 健康経営優良法人と『健康づくり担当者の設置』の関係
『健康経営優良法人認定制度』は経済産業省が健康経営の取り組みをする企業を“見える化”して応援するために、2016年に作られた評価制度です。
その認定要件の必須項目の中に『健康づくり担当者の設置』があります。

健康経営優良法人の認定要件も一緒に見ていきましょう!
(1)健康経営優良法人の認定要件
「健康経営優良法人2025」(中小規模法人部門)の申請期間は2024年8月19日〜2024年10月18日でした。
認定結果は、2025年3月10日に発表されています。毎年その時期に行われる予定です。
必須項目が7つあり、その他項目が①〜⑮まであります。
その中で『健康づくり担当者の設置』は、上から2番目の必須項目に該当します。

(2)申請時のチェック項目
Q1.各事業場に健康づくり担当者を設置していますか。(1つだけ)
◆健康づくり担当者とは、事業場において従業員の健康保持・増進に関する取り組みを推進する者を指します。
(健康診断や保健指導、特定保健指導の連絡窓口等の実務等を担う者を含みます。)
特定の資格や研修の修了を求めるものではありません。
◆従業員の健康保持・増進の取り組みを効率的に推進するためには、産業医や産業保健師等の専門的な知識のある
産業スタッフがチームとして連携して取り組むことが重要です。
◆産業医の選任義務のない従業員50人未満の事業場においても、事業場内のスタッフの他、市町村や地域の医療機関、
地域産業保健センター等の外部機関も活用し、総合的にチームとして取り組むことが有効です。(例えば、市町村保健師
による生活習慣病予防のための健康教室に参加すること、従業員の家族の健康問題に関して保健所保健師の家庭訪問を
受けること、地域産業保健センターの医師による長時間労働者への面接指導を受けることなどが考えられます。)
◆場所的に分散しているものであっても、出張所、支所等で、規模が著しく小さく、組織的関連、事務処理能力等を勘案して1つの事業場という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して1つの事業場として取り扱います。
1. 全ての事業場に健康づくり担当者を設置している
2. 健康づくり担当者を設置していない事業場がある ⇒健康経営優良法人不認定

健康づくり担当者を設置していないという時点で、不認定(健康経営優良法人の認定がもらえない)ということになります。
健康づくり担当者のことについて上記の◆に記載されていますが、難しく書かれている部分があるため、分かりやすく説明します!
↓
◆健康づくり担当者は何をする人?
職場で、従業員の健康に関する取り組みを進める人のこと。たとえば健康診断の案内を出したり、保健指導のやり取りをしたり、「職場の健康の窓口」的な役割をする人です。
※資格や特別な研修は必要なし!やる気と調整力があればOK。
◆連携する
一人だけで頑張るのではなく、産業医や保健師、外部の専門スタッフなどとチームで連携して動くのが理想です。専門的な知識は外部に頼り、担当者は社内とのつなぎ役になることが多いです。
◆従業員50人未満だけど必要?
必要です!
50人未満で産業医の選任義務がなくても、外部の支援(地域の保健師さん、産業保健センターなど)を活用して、できる範囲でチーム体制を作ることが大切です。健康経営優良法人を目指すなら特にここが評価されます。
◆支店や営業所がバラバラにある場合は?
組織としての独立性がなければ、まとめて「1つの事業場」として扱われます。
つまり、支店や出張所ごとに担当者を設けなくても、支社や本社などの上位機構がまとめて対応することができます。

つまり、健康づくり担当者は、職場全体の健康づくりをリードする存在で、健康経営の土台を支えるキーパーソンです。
そして、資格や特別な研修は必要ないので、会社の規模や体制に合わせて柔軟に対応できる人に任せると良さそうですね。
Q2.(Q1で「1」とお答えの場合)
健康づくり担当者はどのようなことを実施していますか。(いくつでも)
1 全社または事業場における健康経営施策立案を行っている
2 全社の健康経営施策立案に基づいた事業場における施策実行支援を行っている
3 全社の健康経営施策立案に基づいた事業場における施策の進捗管理を行っている
4 経営者層に対して、健康経営の取り組みの方針や進捗状況、結果等に関する
報告・相談を行っている
5 産業医や保健師等の産業保健スタッフを通した従業員の健康課題の把握や、
産業保健スタッフに対して健康経営の取り組みの方針や進捗状況、結果等に関する
報告・相談を行っている
6 保険者からの情報提供(ヘルスケア通信簿等)を通した従業員の課題把握や、
保険者に対して健康経営の取り組みの方針や進捗状況、結果等に関する
報告・相談を行っている
7 定期健康診断や保健指導の予約、従業員への周知等の実務を行っている
8 特定健診・特定保健指導の実施に関する保険者との連絡窓口になっている
9 特に行っていない ⇒健康経営優良法人不認定

これも少し難しいので、分かりやすく説明します。
↓
1 全社または事業場における健康経営施策立案を行っている
🟰会社全体や各事業所で、健康に関する取り組みを企画・立案する。
(例)食生活改善、運動習慣づくり、メンタルヘルス対策など
2 全社の健康経営施策立案に基づいた事業場における施策実行支援を行っている
🟰会社で決めた健康施策が、実際の職場でちゃんと実行されるように支援する。
3 全社の健康経営施策立案に基づいた事業場における施策の進捗管理を行っている
🟰健康施策がうまく進んでいるかを管理し、必要に応じて改善の提案や進捗の管理も行う。目標達成に向けてPDCAをまわすイメージ。
4 経営者層に対して、健康経営の取り組みの方針や進捗状況、結果等に関する報告・相談を行っている
🟰健康経営の進捗状況や成果について、社長や役員などの経営者層と共有・相談する。これにより、会社全体で健康経営を本気で進める体制が整う。
5 産業医や保健師等の産業保健スタッフを通した従業員の健康課題の把握や、産業保健スタッフに対して健康経営の取り組みの方針や進捗状況、結果等に関する報告・相談を行っている
🟰産業医や保健師と連携して、従業員が抱える健康上の課題を把握する。また、その状況をもとに、今後の健康施策について一緒に相談していく。
6 保険者からの情報提供(ヘルスケア通信簿等)を通した従業員の課題把握や、保険者に対して健康経営の取り組みの方針や進捗状況、結果等に関する報告・相談を行っている
🟰健康保険組合(保険者)とも連携する。保険者から提供される「ヘルスケア通信簿」などの情報をもとに、従業員の健康状態や課題を把握し、それに応じた施策を検討・報告する。
7 定期健康診断や保健指導の予約、従業員への周知等の実務を行っている
🟰従業員の健康診断や保健指導について、予約手続き・日程調整・社内通知などの事務作業も担当する。
8 特定健診・特定保健指導の実施に関する保険者との連絡窓口になっている
🟰健康保険組合(保険者)などと連携し、特定健診・特定保健指導がスムーズに受けられるように窓口役になる。
9 特に行っていない ⇒健康経営優良法人不認定
🟰不認定(健康経営優良法人の認定がもらえない)

より多くできていれば、健康経営優良法人の認定に有利ですし、会社にとっても健康経営が社内に浸透しているという証になります。
4. 健康づくり担当者の流れ

『健康づくり担当者』の選出が終わったら具体的にどのような流れで取り組みを進めるべきかみていきましょう!
Step1:役割・業務内容の明確化
担当者の役割と業務内容をはっきり決めておきましょう。
◎健康診断や保健指導の連絡・実務
◎社内外との連携窓口(産業医・保健師・保険者)
◎従業員の健康課題の把握・共有
◎健康イベントの企画・運営 など

無理に全部やろうとせず、会社の規模に合った体制を作ろう!
Step2:年間スケジュールと目標の設定
「何を」「いつまでに」「どれくらい」やるかを決めます。
◎健康診断や保健指導の実施月
◎ストレスチェックの実施時期
◎健康増進イベント(ウォーキングキャンペーンなど)
◎KPI(受診率、参加率など)の設定もおすすめ

カレンダーで見える化すると、社内の動きがスムーズになります!
Step3:実施・連携・報告
健康づくりの活動を実行しながら、社内(従業員や経営者)や関係機関(産業医や保健師、所属している保健協会)とこまめに連絡や報告をしていきましょう。
◎産業医・保健師・保険者との連携
◎経営層への報告・相談
◎必要に応じて現場への調整・フォロー

担当者は無理をせず、外部リソース(保健師や保健所、協会けんぽや民間の健康支援サービス会社)も積極的に活用しましょう!
Step4:評価と改善
年に1回、取り組みの振り返りと来年度の改善点をあげ、次年度のスケジュールと目標設定を行います。また、健康経営優良法人の申請を考えている場合は、8月に実績の整理をしておきましょう。
◎実施した内容と実績の整理
◎改善点の洗い出しと翌年への反映
◎健康経営優良法人の申請準備

やるべきことがわかっていれば悩むことはないので、Step1とStep2をしっかり決めて、迷わず実行していき、どんどんアップデートしていきましょう!
5. まとめ
◎健康づくり担当者の設置は認定の必須条件
いないと認定されない
◎資格不要!向いているのは…
人事・総務/話し上手/健康に関心がある人
◎1人でもOKだが、必要に応じてチーム体制を
役割を明確にして負担を分散
◎担当者の主な仕事は?
健康診断の手配、健康イベント企画、産業医や保険者との連携など
◎4Stepで活動を進めるとスムーズ
①役割を決める
②年間計画を立てる
③実施・報告・連携する
④年1回ふり返って改善する
◎外部の支援機関(保健師・協会けんぽなど)も積極活用を!