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「健康経営の申請項目ってたくさんあるけど、正直なにをやればいいの?」
そんな声をよく耳にします。評価項目もいくつかあり、迷いやすいポイントです。

こんにちは、Sailing Dayの羊一です。
このブログでは、申請時の評価項目において、取り組みやすくて効果も出やすいおすすめ施策をわかりやすく紹介します。
1. 認定要件における制度・施策実行

健康経営優良法人の認定要件における「3. 制度・施策実行」とは、企業が健康経営を“計画だけで終わらせず、実際に社員向けに実行しているか”を確認する項目です。
(1)従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討
まず「今、社員の健康にどんな課題があるのか」を正しく知ることがスタートです。
健康診断やストレスチェックの集計結果、従業員アンケートなどを活用して、課題を見える化します。
(2)健康経営の実践に向けた土台づくり
推進の責任者を決め、必要に応じてチーム体制を整えます。
そのうえで、分析した課題や改善方針を経営層と共有し、「健康宣言」や社内ルールとして明文化。
朝礼や社内掲示を通じて、社員にもわかりやすく発信します。
(3)従業員の心と身体の健康づくりに関する具体的対策
健康課題を把握し、体制が整ったら、いよいよ実際の取り組みです。心と身体、両面から社員の健康を支える具体策を展開していきます。
(1)認定要件
認定要件は中小規模法人部門、小規模法人特例によって異なります。まずは自社がどちらに属するか確認しましょう。
従業員が21人以上→中小規模法人部門
従業員が20人以下 → 小規模法人特例
ただし、法人の形態や業種によっては例外もあります。
下記の評価項目⑧〜⑮のうち
中小規模法人部門は、4項目以上・小規模法人特例は、3項目以上
取り組んでいることが、必須となります。
⑧保健指導の実施または特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み
⑨食生活の改善に向けた取り組み
⑩運動機会の増進に向けた取り組み
⑪女性の健康保持・増進に向けた取り組み
⑫長時間労働者への対応に関する取り組み
⑬メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み
⑭感染症予防に関する取り組み
⑮喫煙率低下に向けた取り組み
ちなみにブライト500(中小規模法人部門の認定法人のうち、上位500法人)・ネクストブライト1000(中小規模法人部門の認定法人のうち、次のステップを期待される上位1000社)を目指す場合は、①〜⑮のうち13項目以上が必須となります。
2. 取り組みやすい評価項目4選
健康経営の施策は評価項目⑧〜⑮まで8つありますが、すべてを同時に始めるのは現実的ではありません。特に中小企業や小規模法人では「時間」「予算」「人手」に限りがあり、ハードルが高く感じてしまうこともありますよね。
何をしたらいいんだろう?戸惑ってしまう方も多いかもしれません。ここでは評価項目⑧〜⑮のうち、特に始めやすい4つを紹介します。

◎導入コストが少ない
◎現場の負担が軽い
◎成果が出やすく、評価されやすい
を基準に選んでみました!
⑨食生活の改善に向けた取り組み
◎社員食堂や仕出し弁当業者との協業
◎自販機のラインナップを「カロリー表示付き・低糖質飲料」に変更
野菜強化弁当などヘルシー食を導入したり、昼食を少し変えるだけで健康経営につながります。また栄養バランスを掲示するポスター・チラシを用意してみましょう。
健康意識の向上に直結し、食をきっかけに社内コミュニケーションも促進します。
さらに詳しく見る→食生活の改善に向けた取り組み
⑩運動機会の増進に向けた取り組み
◎朝礼でのラジオ体操の導入
◎歩数チャレンジ(月ごとの社内ランキングなど)
◎スタンディングデスクの試験導入
社内イベントや始業前5分で完結するものが多いです。
健康診断の結果にも好影響がありますし、社内で運動に取り組むことによりコミュニケーション活性化も期待できます。
さらに詳しく見る→運動機会の増進に向けた取り組み
⑫長時間労働者への対応に関する取り組み
◎月45時間超の残業者に産業医面談を案内
◎長時間労働が発生した部署へのフィードバック体制
多くの企業で勤怠管理システムが導入されていると思います。そのため、データが管理しやすく負担を抑えて確実に実行できます。
社員の疲弊・離職防止に効果的ですし、管理職の意識改善にもつながります。
さらに詳しく見る→長時間労働者への対応に関する取り組み
⑮喫煙率低下に向けた取り組み
◎喫煙所の分煙・撤去
◎禁煙外来の案内
◎社内掲示や定期的な「禁煙週間」の開催
禁煙率など明確な成果が見えやすいです。取り組みを行うことで社内外に「健康意識の高い会社」としてPRもしやすくなります。
さらに詳しく見る→喫煙率低下に向けた取り組み

以上、4つは導入しやすく・続けやすく・効果も見えやすいので「まず最初にやるべき施策」として最適です!
(1)評価項目一覧
その他の評価項目は下記の通りです。詳しくブログにて解説しています。
具体的な健康保持・増進施策
⑧保健指導の実施または特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み

⑨食生活の改善に向けた取り組み

⑩運動機会の増進に向けた取り組み

⑪女性の健康保持・増進に向けた取り組み

⑫長時間労働者への対応に関する取り組み

⑬メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み

感染症予防対策
⑭感染症予防に関する取り組み

喫煙対策
⑮喫煙率低下に向けた取り組み

受動喫煙対策に関する取り組み(必須)
なお、喫煙対策の受動喫煙対策に関する取り組みにおいては、両部門とも必須となるのでしっかり取り組みましょう。

社内でできそうな施策はありましたか?早速実行してみましょう。
(2)おすすめの組み合わせ
項目は、2つ以上の項目をうまく組み合わせると、相乗効果が生まれ、評価の面でもプラスになります。もちろん、取り組みやすいもので良いですが、こういった組み合わせも参考にしてみてください。
⑨食生活の改善に向けた取り組み
&
⑩運動機会の増進に向けた取り組み
たとえば、ラジオ体操+ヘルシー弁当。このように日常的に取り組みやすい健康習慣を組み合わせると、社員の生活習慣改善に直結しやすくなります。さらに、体重や血圧などの変化が出やすいので、「効果が見える」取り組みとして説得力が高まります。
⑫長時間労働者への対応に関する取り組み
&
⑬メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み
ストレスチェックと勤怠データを掛け合わせて分析することで、「誰がどんな働き方に負担を感じているのか」が見えてきます。高ストレス者に対する面談制度や、長時間労働が発生しがちな部署へのフォロー体制が整っていれば、「社員を守っている会社」として評価されやすくなります。
⑭感染症予防に関する取り組み
&
⑮喫煙率低下に向けた取り組み
喫煙スペースの見直しと一緒に、手洗いやマスクの啓発を同時に行うことで、社員の衛生意識を底上げできます。健康づくりだけでなく、働く環境そのものの改善にもつながります。

複数の施策を組み合わせることで、一貫した方針として伝わりやすくなり、成果も出やすくなります。社員の納得感が高まり、外部からの信頼も得やすくなります。
「とりあえずやる」から「社員のために続ける」へ。
健康経営の施策は、数よりも質と一貫性が評価される時代です。形だけにせず、社員の体験と企業の戦略を結びつけることが、真に“健康経営優良法人”と呼ばれる企業への一歩です。
(3)よくある失敗と対策
健康経営優良法人の申請に向けて施策を導入している企業は増えていますが、実は「やったことにするだけ」で終わってしまっているケースも少なくありません。書類上では問題なさそうに見えても、現場では社員に全く浸透していない…。そんな“形だけの取り組み”になってしまうと、せっかくの努力が評価されにくくなってしまいます。
では、どうすれば「実行力がある会社」と評価される取り組みになるのでしょうか?
たとえば、以下のような取り組みは一見やっているようで、実は評価の対象になりづらいものです。
ありがちな失敗例
◎朝礼で一度だけラジオ体操をしたけど、継続していない
◎ストレスチェックを実施したけど、結果を活用していない
◎食堂に栄養ポスターを貼ったけど、社員は誰も見ていない
◎禁煙ポスターを掲示しただけで、支援制度はない
こうした施策は見かけだけの実施になりがちで、社員が本当に恩恵を感じられていない状態です。
そこで大切なのは、社員を巻き込む工夫と継続できる仕組みです。
社員を巻き込むには?
◎アンケートを実施する
◎朝礼や掲示板を活用する
◎報奨制度をつくる
「どんな健康施策があれば嬉しいか?」を聞くだけで、社員の意識は変わります。また「今月の取り組み」を定期的に発信し、目に触れる機会を増やすことも大切です。
「歩数チャレンジ」や「禁煙継続◯日達成」でささやかな表彰をすると、参加率が一気に上がります。
継続のポイントは、
◎無理せず、小さく始めて成功体験を積み上げる。
◎取り組みの結果(例:参加率・健康診断結果の変化など)を可視化し、社内に共有する。
◎「写真を残す」「報告書にまとめる」など“証拠”を残す癖をつける。
ちなみに、健康経営優良法人の申請時、申請内容の正確性と信頼性を確保するため、申請期間の最終日から2年間、申請内容を裏付ける資料の保存が義務付けられているので、ここでも役立ちます。

形だけで終わらせないためには、「社員のリアクションがあるか?」を1つの基準にすると良いでしょう。