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『働き方改革』実際には何から始めればいいのか分からない…
そう感じていませんか?
多様な働き方、ワークライフバランス、テレワーク、長時間労働の是正など国をあげた取り組みとして進められているこの改革も現場では「実現の難しさ」を感じている企業が少なくありません。
しかし、成功している企業は共通して、「自社らしいやり方」で一歩を踏み出しているのです。

Sailing Dayの羊一です!今回は働き方改革を実現する為に必要な視点とすぐに取り入れられる具体的な取組み事例を紹介しながら、あなたにもできる「一歩」を一緒に探っていきましょう!
1. なぜ今、働き方改革が求められているのか?
「働き方改革」という言葉が使われ始めてから数年が経ちました。
多くの企業では未だに「制度だけ」「かけ声だけ」で終わってしまっているケースも少なくありません。
では、なぜいま改めて本気の改革が求められているのでしょうか?
(1)社会背景から見える“変化の必然性”
1. 少子高齢化と人手不足の深刻化
総務省の統計によれば、日本の生産年齢人口(15〜64歳)は年々減少。
このままでは、従来の働き方のままでは「人が足りない」のではなく、回らない会社になる可能性が高まっています。
▶︎働ける人を確保し、1人ひとりの力を最大化する必要がある。
2. 働き手の価値観が多様化
「子育てしながら在宅で働きたい」「副業もしたい」「都心を離れて働きたい」
働き方の選択肢が増える中で、一律な働き方はむしろ“離職リスク”に。
▶︎企業側も、柔軟な制度設計と個別対応が求められる時代に。
3. メンタル不調・過労問題の可視化
コロナ禍を経て、メンタルヘルスへの注目が一気に高まりました。
長時間労働や過度なプレッシャーは、生産性低下や人材流出の原因にも。
▶︎健康経営との連動も含めた“安心して働ける環境”づくりが急務。
4. 優秀な人材の「採用・定着競争」が激化
求職者が企業を選ぶ時代。
給与やブランドだけでなく、「どんな働き方ができるのか」が評価基準になっています。
▶︎働き方改革=企業ブランディングの要素にもなっている。

つまり、働き方改革は「やるかやらないか」ではなく「どうやって実現するか」が問われる段階に入っているのです。では、次の項目で実際にどのように取り組んでいるのか規模も業種も異なる3社の実例を見ていきましょう!

2. 企業事例
①【株式会社サカタ製作所】
(新潟県/金属屋根部品の製造等/155名)
業務システムの刷新や新システムの開発で効率アップ
【取り組み前の状況】
◎専門家を招いた社内の講演会で長時間労働の弊害を指摘された。
【取り組んだ内容】
◎基幹業務システムのコンピュータを刷新し、受注状況を踏まえた最適な生産計画を作成。
◎見積もりシステムを新たに開発。ウェブ上に公開することで顧客による見積もりも可能に。
【成果】
◎これまで3日かかっていた作業を5分に短縮。
◎1人当たりの月平均残業時間が、約18時間から約1時間に縮減。

「たった5分で終わる仕組みづくりで、18時間の残業を減らした!」まずは“見直す勇気”が、改革のスタートです!
②【株式会社マエダハウジング】
(広島県/建設、リフォーム/87名)
ワンストップショールームで業務効率改善
【取り組み内容】
◎マンションのリフォームを5プランに分類し、プランごとにオプションを設定した商品を開発。
◎モデルルームとして再現し、顧客に選びやすい環境を提供。
【成果】
◎見積書作成のスピードが向上し、打ち合わせ回数も減少。
◎1人当たりの月平均残業時間が約40%削減。

「選びやすさ」を整えたら、働きやすさまで整った!提案の効率化で、残業は40%削減に!
③【株式会社minitts】
(京都府/飲食店/20名)
ランチの売り切り営業の導入で勤務時間を短縮
【取り組み内容】
◎毎日のランチタイムで1日100食限定ランチの店として、売り切れ次第営業が終了する仕組みを導入。
◎従業員は早く売り切るために、良い接客に自ずから努めるきっかけにもなった。
【成果】
◎従業員の定着率が向上。
◎労働時間の短縮と業務効率の向上を実現。

「売り切りスタイル」が、働き方も意識も変えた!定着率アップと時短の両立に成功!

3. 自社で働き方改革を“実現”するためのステップ

働き方改革は、大きな投資や制度変更を必要としない“身近な工夫”から始められます。ここでは、中小企業でもすぐに動ける3つの実践ステップをご紹介します。
現場のストレスやムダの“芽”は、意外と身近なところに。
◎書類が毎回手書きで、記入や確認に時間がかかる
◎会議が長引き、業務時間が後ろ倒しになる
◎誰に聞けばいいか分からない問い合わせが多い
こうした「ちょっとした不便」をリストアップし、社員から具体的な改善案をもらいましょう。

「大きな問題」より「小さな不満」を見逃さないのが、改革の第一歩!
制度を整える前に、「1週間お試し」で小さく始めるのがおすすめ。
◎水曜だけ「定時退社デー」を試す
◎会議の上限を30分にしてみる
◎雑談タイムを朝礼の前後に設けてみる

期間限定で気軽に導入することで、社員も参加しやすくなり、実際の効果や課題も見えやすくなります。
改革は“やりっぱなし”では意味がありません。
毎月1回など定期的に、社員から感想や気づきをもらう「ミニ振り返り会」を設けてみましょう。
◎よかった点・困った点・改善点を共有
◎新たなアイデアや工夫を出し合う
◎成果や変化をチームで共有し、評価し合う

「続ける力」は、見直しと共有の場から育ちます!
4. 健康経営優良法人と『適切な働き方実現に向けた取り組み』の関係
『健康経営優良法人認定制度は』経済産業省が健康経営の取り組みをする企業を見える化して応援するために、2016年に作られた評価制度です。
その認定要件の項目の中に『適切な働き方実現に向けた取り組み』があります。

健康経営優良法人の認定要件も一緒に見ていきましょう!
(1)健康経営優良法人の認定要件
「健康経営優良法人2025」(中小規模法人部門)の申請期間は2024年8月19日〜2024年10月18日でした。
認定結果は、2025年3月10日に発表されています。毎年その時期に行われる予定です。
必須項目が7つあり、その他項目が①〜⑮まであります。
その中で『適切な働き方実現に向けた取り組み』はその他項目の⑤に該当します。

(出典:健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定申請書より)
(2)申請時のチェック項目
経済産業省が認定している「健康経営優良法人認定制度」には、申請する時に以下のチェック項目があります。
Q1.仕事と家庭生活の両立に向けた環境づくりのためにどのような取り組みを行っていますか。
(いくつでも)
◆超過勤務時間の把握のみでは適合要件を満たしません。
1 残業の事前申告制度を設けている
2 PCのログイン記録等、入退社時刻を正確に記録するシステムを導入し、従業員が申告した勤務時間との間に差がある場合には指摘・是正を行っている(タイムカードの導入のみの場合は除く)
3 長時間労働をしている部署の上司や部署に対するペナルティを設置している
4 時間外労働時間の削減を管理職の評価項目に設定している
5 時間外労働時間の削減を一般従業員の評価項目に設定している
6 業務繁閑に対応して休業日の設定や所定労働時間の変更を行っている(お盆・年末年始休暇、慶弔休暇は除く)
7 勤務間インターバル制度を設けている
8 時間単位での年次有給休暇(半休は除く)の取得を可能にしている
9 フレックスタイム制度または時差出勤制度を設けている
10 任意のタイミングで取得できる有給の特別休暇制度(お盆・年末年始休暇、慶弔休暇は除く)を設けている
(例:ボランティア休暇、永年勤続休暇、病気休暇、看護休暇、骨髄等移植のドナー休暇等)
11 定時消灯日・定時退勤日(ノー残業デー等)等を設定している
12 育児や介護等のための法定を超える短時間勤務や、本人の希望に応じて週休3日制等の勤務制度を導入している
13 特に行っていない ⇒評価項目不適合

必須項目ではありませんが、評価項目の一つなのでやっておくと認定に有利になります!
(3)チェック項目ごとの今からできることリスト
① 残業の事前申告制度を設けている
▶︎毎朝/週初めに「予定残業申告フォーム」を社内チャットやGoogleフォームで実施
②PCのログイン記録等で入退社時刻を正確に記録し、差異があれば是正
▶︎勤怠管理システム(KING OF TIME、ジョブカンなど)の導入+定期的な実績確認
③長時間労働をしている部署や上司に対するペナルティを設置
▶︎ 部門ごとの月次残業データを可視化・共有し、著しい超過部署に対して管理職会議で改善指導
④時間外労働時間の削減を管理職の評価項目に設定
▶︎年度評価シートに「部下の時間外労働の削減努力」を追加項目として設定
⑤時間外労働時間の削減を一般従業員の評価項目に設定
▶︎月次MBO目標などに「定時退社率〇%達成」などの目標を取り入れる
⑥ 業務繁閑に対応して休業日や所定労働時間を変更
▶︎閑散期に「特別休暇付与デー」を設ける or 所定労働時間の短縮導入(例:夏季・年末年始以外でも)
⑦勤務間インターバル制度を設けている
▶︎社内ルールに「退勤後●時間は次の出勤不可(例:11時間インターバル)」を明文化、管理職に徹底通知
⑧時間単位での年次有給休暇取得(半休は除く)
▶︎勤怠システムに「時間単位有休申請」欄を追加、社員説明会を実施
⑨フレックスタイム制度または時差出勤制度を設けている
▶︎コアタイムあり/なしの簡易型フレックスタイムの試験導入
▶︎朝型・夕方型の時差出勤パターンを作成し、社員に選択肢提示
⑩任意のタイミングで取得できる有給の特別休暇制度
▶︎社内規程に「ボランティア休暇」「リフレッシュ休暇」「看護休暇」など新設
⑪定時消灯日・定時退勤日(ノー残業デー等)を設定
▶︎まずは「月1回のノー残業デー」を設定し、社内周知+管理職から率先して実施
⑫法定を超える短時間勤務や週休3日制等の勤務制度導入
▶︎「育児・介護」「自己啓発」など理由を問わず短時間勤務や週休3日を試験的に導入(希望者公募型など)
⑬特に行っていない → 評価項目不適合
▶︎何か1項目でも取り組みを開始する! まずは優先順位の高いものから着手して進捗を記録しておく。

全部やろうとしなくて大丈夫。しかし、何もやらなければ「ゼロ評価」。
まずは一つからでも始めることが大切です!
(4)申請時に必要な事と注意点

働き方改革の取り組みを進めたら、最後にもう一歩大切なポイントがあります。それはやったことをきちんと“証拠として残しておく”こと。実は、健康経営優良法人の申請では“実績”だけでなく“記録”が求められます。
ここでよくある「つまずきパターン」を整理します!
【1】制度を作っただけ → 実績がない
❌ 定時退社デーを設定したが、誰が何回利用したか集計していない
✅ 何回開催したか/対象者・利用者数のログを残しておく

「やった事実+実績」が重要。計画だけではNG。
イベント後は必ず 実績報告(記録) を残す習慣をつけましょう。
【2】社内メールだけ周知 → 証拠が残っていない
❌ 社内メールで制度を周知したが、そのメールは削除してしまった
✅ メールの画面キャプチャをPDF化/掲示ポスターの写真を保存

「いつ、どんな文面で周知したか」が問われます。PDFや紙で保存 or スクショを残すことで 後から提出可能に!
【3】ルールが口頭指示のみ →文章に残していない
❌ 上司が「なるべく定時退社して」と口頭で言っているだけ
✅ 就業規則・社内ルール集・イントラに正式なルールとして記載

口頭指示や慣習は「やっていない」と判断されることが多いです!
文書化して「正式な社内ルール」として示しましょう!
5. まとめ
◎働き方改革は「実行」がカギ
▶︎制度だけで満足せず、現場で効果を出す工夫を。
◎改革の進め方は「小さな一歩」から
▶︎不便の改善 → お試し導入 → 振り返り → 定着
◎健康経営優良法人でも「適切な働き方」は評価対象
▶︎残業削減・柔軟な休暇制度・勤務間インターバルがポイント
▶︎「やったこと」はルール化・記録化・見える化が必須
◎完璧を目指すより「まず1つ」から始める
▶︎ゼロ評価回避と継続的改善のきっかけに。

