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「健康企業宣言」「銀の認定」「金の認定」
聞いたことはあるけれど、実際に何から始めればいいの?
申請の流れや「銀」と「金」の違いも、わからない…。

Sailing Dayの羊一です。
そんな方のために今回は「健康企業宣言」の基礎から「銀の認定」「金の認定」の違いや、健康経営優良法人との関係をわかりやすく解説していきます。
1.健康企業宣言とは?
健康企業宣言
企業が「健康経営」に取り組むことを宣言し「銀の認定」や「金の認定」を目指す制度。
「健康企業宣言」は、企業が『従業員の健康を大切にし、職場全体で健康づくりに取り組んでいくこと』を外部に向けて宣言する制度です。
東京都内に所在地のある医療保険者(協会けんぽ東京支部、健康保険組合、国民健康保険組合)に加入している企業・団体等が宣言(参加)でき、規模や業種を問わず、大企業はもちろん中小企業や個人事業主も取り組むことができます。
すでに健康経営に取り組んでいる企業も、これから始める企業も参加できます!

健康経営のはじめの一歩として多くの企業が取り組んでいます!

2.銀の認定・金の認定
健康企業宣言には、取り組みの段階に応じて「銀の認定」と「金の認定」があります。
これは、企業がどれだけ健康づくりに取り組んだかをSTEP1とSTEP2の2段階で評価し、成果を証明するものです。
STEP1が「銀の認定」
STEP2が「金の認定」
(1)「銀の認定」と「金の認定」の違い
「銀の認定(STEP1)」と「金の認定(STEP2)」には、取り組みの深さや内容、求められる基準に違いがあります。
職場の健康づくりに取り組む環境を整える「STEP1」では必ず「100%健診実施」「健診結果活用」「特定保健指導活用」「健康づくり環境整備」「禁煙」の5つに取り組むことを宣言するほか、①食、②運動、③心の健康、④性差に応じた健康課題、⑤睡眠、⑥歯・口腔、⑦飲酒の7項目から選択して取り組むことを宣言します。 もう一歩進んで、安全衛生にも取り組む「STEP2」では、①健診・重症化予防 ②健康管理・安全衛生活動 ③メンタルヘルス対策 ④過重労働防止 ⑤感染症予防 ⑥健康経営の6項目に取り組むことを宣言します。
【取り組み内容の違い】
比較項目 | 銀の認定(Step1) | 金の認定(Step2) |
---|---|---|
主な目的 | 健康づくりの環境を整える | 健康経営を本格的に実践する |
取り組み内容 | 健診、禁煙、生活習慣改善など | メンタルヘルス、重症化予防、労働時間管理など |
対象範囲 | 個人の生活習慣中心 | 職場全体の制度・体制まで含む |

銀の認定は、「健康づくりのきっかけづくり」がテーマで、日常的な習慣の改善にフォーカスしています。一方、金の認定では、「職場の制度や健診後の重症化予防」などまで踏み込んでいく必要があります。
【評価・申請の条件】
項目 | 銀の認定(Step1) | 金の認定(Step2) |
---|---|---|
取り組み期間 | 6ヶ月以上 | 6ヶ月以上 |
評価基準 | 80点以上 | 80点以上 |
申請条件 | 健康企業宣言を行っていること | 銀の認定を取得していること |

銀の認定を受けていないと、金の認定には進めません。つまり、健康宣言→銀 → 金の順番でステップアップしていく仕組みです。
【認定後のメリット】
「銀の認定」「金の認定」を受けることで、社内外への信頼性やイメージ向上につながるほか、求人広告や企業ホームページに掲載することで、採用率UPや離職率低下にもつながります。
また、「健康経営優良法人認定制度」の申請条件が『銀の認定を受けていること』なので、健康経営優良法人の認定が欲しい企業は必ずやりましょう!
メリット | 具体的な内容 |
---|---|
社内の健康意識向上 | 健診やメンタル対策を通じて、従業員の安心感・満足度が高まる |
採用活動での企業アピール | 認定ロゴを求人やHPに掲載し、「働きやすい企業」としてアピール |
社会的信頼の向上 | 取引先や自治体からの評価が上がり、優遇制度の対象になることも |
企業価値の向上 | 健康経営優良法人としての認定が、従業員・顧客・地域からの信頼を高める |

優遇制度には「健康企業応援・ダイバーシティ推進保証制度」があります。
(2)健康企業応援・ダイバーシティ推進保証制度
健康企業宣言の特典
「健康企業応援・ダイバーシティ推進保証制度」(東京信用保証協会)
「健康企業宣言」にエントリーした事業所に対し、信用保証料率の優遇が受けられます。
※ご利用には東京信用保証協会による審査があります。
この、「健康企業応援・ダイバーシティ推進保証制度」(通称:健康DS制度)は、東京信用保証協会が提供する保証付き融資の仕組みで、従業員の健康づくりや多様な人材活躍(ダイバーシティ)に力を入れる中小企業向けに、保証料率を最大15%引き下げて支援する制度です。
対象になる企業は、①従業員が5名以上の企業 ②「健康企業宣言の証」を協会けんぽ東京支部などから受けている企業、もしくはその他の認定を受けている企業です。
項目 | 内容 |
---|---|
融資限度額 | 2億8,000万円(組合4億8,000万円) |
資金使途 | 運転資金・設備資金 |
融資期間 | 最長10年以内(据置期間1年を含む) |

採用にも資金調達にもプラスになる嬉しいメリットですね!
3.銀の認定取得までの具体的な手順

ここからは、たくさんの企業が加入している協会けんぽ東京支部の場合の具体的な手順を見ていきます。
応募用紙を提出
①チェックシートで御社の健康づくりの取り組み状況をチェックする。点数の低いところが健康課題になる。
②STEP1(銀の認定)を始める前に、応募用紙を記入または入力し、FAXもしくは郵送で協会けんぽに送ります。
③応募用紙を送ったあとに、約1~2週間で協会けんぽから『宣言の証』が送られてくる。
④社内に掲示などして従業員に周知のうえで、STEP1スタート!
チェックシート(※1)で御社の健康づくりの取り組み状況をチェックしてください。点数の低いところが御社の健康課題となります。応募用紙(※2)に取組項目や必要事項をご記入いただき、FAXにて送信してください。応募用紙を送信いただいたあとに、約1~2週間で協会けんぽから宣言の証をお送りしますので、社内に掲示などして従業員に周知のうえ、実際に取り組みを始めていただきます。
※1健康企業宣言STEP1チェックシート
※2健康企業宣言応募用紙
STEP1(銀の認定)
①チェックシートを参考に、目標を決めて職場の健康づくりを実施。
応募用紙を送って、『宣言の証』が送られてきてから6ヶ月以上職場の健康づくりに取り組みます。
「100%健診実施」「健診結果活用」「特定保健指導活用」「健康づくり環境整備」「禁煙」
①食、②運動、③心の健康、④性差に応じた健康課題、⑤睡眠、⑥歯・口腔、⑦飲酒の7項目から3つ以上選択して取り組む。
⚠️令和7年4月から取組分野を追加しています。必須分野(表面)はすべての取組みが必要です。
⚠️選択分野(裏面)は7つの取組分野から3つ以上選び、取組みを進めてください。
⚠️採点は、得点の高い上位3分野で実施します
②実績説明シート(※3)をもとに実施結果レポート(※4)と確認書類(※5)を提出。(宣言後6か月以上の取り組みが必要。)
※3実績説明シート
※4実績結果レポート

提出すべき確認書類は実績説明シートの各設問に記載されています。
※5確認書類

③Step1を6ヶ月以上取り組み80点以上の評価をもらうと健康企業宣言の銀の認定がもらえる。
④銀の認定をもらった後に、Step2を6ヶ月以上取り組み80点以上の評価をもらうと健康企業宣言の金の認定がもらえる。

どちらも6ヶ月以上取り組み、80点以上の評価をもらう必要があるということです!
4.企業の成功事例

実際に銀の認定を取得した企業の成功事例を見てみましょう。
(1)株式会社内田洋行ITソリューションズ
銀の認定を8年連続で取得
社員一人ひとりの健康を支えるための取り組みを、日常業務にしっかり組み込んでいる
◎全拠点に体重・体組成計、血圧計を設置し、社員が自身の健康状態を日常的に「見える化」できるようサポート。筋肉量や骨量といった数値の変化もチェック可能。
◎健康保険組合と連携してニコチンガムやオンライン禁煙外来を提供。初診からオンラインで受診できる環境を整え、通院の負担を軽減している。
◎50人未満の事業所を含む全社員にストレスチェックを実施。結果は部門長にもフィードバックされ、職場単位でのメンタルケアや組織改善にも活用。社員自身もWEB上でストレス状況をセルフチェックできる体制を整えている。

健康経営が制度で終わらず、“日常生活”として根付いていることが、この企業の最大の強みですね!
(2)テイアンドエスサービス株式会社
健康意識浸透のためにインセンティブを活用
健康意識の浸透に向けて、楽しさと報酬を組み合わせたユニークな取り組みを展開している
◎健康診断結果に応じた報奨金制度を導入。A判定には2万円、B判定には1万円を支給し、改善賞としてC判定への回復でも1万5千円を贈呈。こうした制度を何年も継続し、社員の健康意識を高めるインセンティブとして定着させている。
◎生命保険「バイタリティ」アプリを活用し、歩数などに応じたポイント制度で運動の習慣化を支援。従業員の生命保険料(基本部分)を会社が給与に上乗せして負担することで、「もしも」の備えと「予防」の両立を実現している。
◎社内の階段を「0円ジム」と命名し、荷物運搬のたびに「筋トレやります!」と声をかけ合うなど、運動を“楽しく日常に取り入れる”工夫が自然に根づいている。
◎喫煙室を撤去し、社内でタバコの害に関する情報発信を徹底。朝礼や社内掲示などを通じて理解を促し、受動喫煙防止と健康意識の浸透を両立している。

“義務感”ではなく“楽しさ”を軸に健康行動を促す仕掛けを作り、社員一人ひとりが「自分の健康に関心を持つ習慣」として定着しているのが大きな魅力です。
大切なのは、特別なことをするよりも、日々の業務に健康意識を自然に組み込むこと。
まずは銀の認定を目指して、小さな一歩から取り組んでみてください。
5.まとめ
◎ 健康企業宣言は健康経営の“入口”として、企業規模を問わず誰でも始められる制度
◎ 銀の認定は“健康づくりの基盤づくり”、金の認定は“制度化と実践強化”が評価される
◎ 認定取得にはチェックシート・応募書類・実施記録の提出が必須
◎ 社員の健康意識向上や採用力アップ、推進保証制度などメリットも豊富
◎ 成功の鍵は「無理なく、日常業務に組み込む」こと
◎ 認定ステップは「健康宣言 → 銀 → 金 or 健康経営優良法人」への成長プロセス

