2026年度の申請に対応しています
健康経営優良法人の認定要件にある『5.法令遵守・リスクマネジメント(自主申告)』
他の項目に比べてチェック項目もないし、抽象的で少し分かりにくい項目ですよね。

Sailing Dayの羊一です。
今回は、健康経営優良法人認定制度の『5.法令遵守・リスクマネジメント(自主申告)』についてわかりやすく解説していきます。
1.法令遵守・リスクマネジメントとは?
法令遵守=「法律やルールを守ること」
リスクマネジメント=「リスクを予測して備えておくこと」
(1)法令遵守
法令遵守(コンプライアンス)とは、企業や従業員が法律や社内規定を守って行動することです。
労働基準法、最低賃金法、個人情報保護法など、職場に関係するルールをきちんと守ることで社員を守り、企業の信頼を高めることができます。

自分の会社はできているかチェックしてみましょう!
項目 | 内容 | チェック |
---|---|---|
就業規則の整備 | 最新の法令に沿った就業規則を整備している | |
労働時間の管理 | 適切に勤怠管理を行い、残業時間も把握している | |
最低賃金の遵守 | 地域の最低賃金以上の給与を支払っている | |
ハラスメント対策 | 相談窓口や社内研修などの防止対策を行っている | |
個人情報保護 | 顧客や社員の情報を安全に管理している |
(2)リスクマネジメント
リスクマネジメントとは、企業にとってのリスク(災害・事故・病気・不祥事など)を事前に想定し、被害を防ぐ対策を講じておくことです。
備えがあることで、社員や会社を守り、安心して働ける環境が作れます。

こちらも、できているかチェックしてみましょう!
項目 | 内容 | チェック |
---|---|---|
災害対応マニュアル | 地震・火災などの災害対応手順を整備している | |
安否確認体制 | 緊急連絡先・安否確認手段を整備している | |
情報セキュリティ | PC・データの紛失や漏洩対策がされている | |
感染症対策 | 手洗いや体調管理、在宅勤務体制の整備など | |
メンタルヘルス対策 | ストレスチェックや相談窓口を設けている | |
BCP(事業継続計画) | 緊急時でも業務を続けられるよう計画(BCP)を策定している |

2.健康経営優良法人認定制度との関係
『健康経営優良法人認定制度』は経済産業省が健康経営の取り組みをする企業を“見える化”して応援するために、2016年に作られた評価制度です。

(参考:健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)認定要件より)

健康経営優良法人の認定要件は大項目として大きく5つに分かれています。
1.経営理念・方針
2.組織体制
3.制度・施策実行
4.評価・改善
5.法令遵守・リスクマネジメント(自由申告)
『5.法令遵守・リスクマネジメント(自由申告)』は、他の4つの項目と違って申請フォーム内にチェックリストがありません。
その代わりに、『1.経営理念・方針』の回答を始める前の段階で下記誓約事項に誓約し、誓約日・申請者(法人名)・誓約者(法人の代表者名)・従業員代表を記入する必要があります。
実際の誓約事項はこちら↓
誓約事項
<以下の誓約事項に誓約してください>
1.申請者は、健康経営の取り組みを推進するにあたってその基盤となる、職場の労働安全衛生の確立のための
必要な措置、労働災害を防止するための具体的な措置を講じ、従業員の安全・健康の確保に向けた取り組みを
推進していること。
2.申請者は、以下の法令を遵守していること。
(1) 労働安全衛生法第66条に基づき、健康診断を行っていること。
(2) 労働安全衛生法第66条の4に基づき、健康診断を実施後に異常所見が認められた全ての従業員に対して、
産業医等による意見聴取を行い、就業判定を実施していること。
(3) 労働安全衛生法第66条の10に基づき、50人以上の事業場における医師、保健師、その他厚生労働省令
で定める者による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を行っていること。
3.申請日時点で以下の事実がないこと。
(1) 労働安全衛生法第79条に基づき、都道府県労働局長により安全管理特別指導事業場または
衛生管理特別指導事業場に指定されていること。
4.2024年4月1日から申請日までに、以下の事実がないこと。
(1) 労働基準法または労働安全衛生法に係る違反により、送検されている、行政機関により
法人名を公表されている、または是正勧告を受けたが是正措置を講じていないこと。
(2) 長時間労働等に関する重大な労働基準関係法令の同一条項に基づき、同一の事業場において是正勧告書で
2回以上指摘されていること。
(3) 違法な長時間労働を繰り返し行う企業の経営トップに対する都道府県労働局長による是正指導の実施に基づき
法人名が公表されていること。
(4) 労働安全衛生法第78条に基づき、厚生労働大臣により特別安全衛生改善計画作成が指示され、
当該改善計画に基づき改善を行っている期間中であること。
(5) 労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法に係る違反により、勧告を受けていること。
5.申請内容に虚偽がないこと。また、認定審査期間中および認定期間中に、日本健康会議健康経営優良法人
認定委員会及び認定事務局から追加的な確認が求められた場合には誠実に対応し、虚偽等が判明した場合には不認定や
認定取り消しとなる可能性があることを認識すること。さらに、当申請で回答した内容について説明できる
資料を“認定基準適合書&申請にあたって保存すべき資料”に記載された資料例を参考に準備し、
申請期間最終日から2年間保存すること。また、当該資料の提出を求められた際には1週間以内に提出に応じること。
6.過去、現在および将来にわたって、暴力団等の反社会的勢力に所属せず、また関係を有していないこと。
7.健康経営優良法人に認定された場合、以下の事項を遵守すること。
(1) 申請書に記載し、認定の根拠となった事実・取り組み状況については、定期的・継続的に法人内の状況を
適切に把握し、申請時点の取り組み状況を維持または向上させるよう努めること。
(2) 健康経営優良法人のロゴマークは、「健康経営優良法人ロゴマーク使用規約」に従い、かつ、認定有効期間
内(健康経営優良法人2026認定後から2027年3月31日まで)に限り使用すること。
(3) 申請時点での法人の名称や所在地に変更が生じた場合は、速やかに変更事項報告書により報告すること。
(4) 申請時点で記載し認定の根拠となった事実・取り組み状況に変更が生じ、その結果、
認定基準を満たさなくなった場合は、速やかに認定返納届により認定を返納すること。
(5) 認定基準または当該誓約の内容に反する事実が明らかになり、それに基づいて認定が取り消され、
その事実が公表されることに伴い、不利益を被ることとなっても、異議は一切申し立てないこと。
(6) 認定を返納した場合または認定が取り消された場合、健康経営優良法人としての自称および
健康経営優良法人のロゴマークの使用を速やかに取りやめること。
8.申請にあたり、以下の事項に同意すること。
(1) 健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)に認定された法人は、法人番号・業種・市区町村名・
加入保険者名・認定要件適合状況が経済産業省・ACTION!健康経営のウェブサイト等で公表されること。
(2) 認定審査は、申請者から提出された申請書に基づき行うため、審査の判断の根拠となった申請者の
取り組みが実際に行われていることについての説明責任は申請者に帰属し、日本健康会議と
その構成員・団体、健康経営優良法人認定委員会等が一切責任を負わないこと。
(3) 申請データは、株式会社日本経済新聞社及び守秘義務等を誓約した委託事業者(株式会社日本総合研究所、
株式会社日経リサーチ)が知的財産権等を保有し、データの管理を行う。
(4) 個々の回答データを事前の許諾なしにそのまま公表することはないが、健康経営の普及に向けた学術研究
のために、大学等研究機関から経済産業省に対し申請があった場合、
個社名付きの回答データの当該研究外での使用の禁止や守秘義務等を誓約させた上で、
回答データをこれら大学等研究機関に提供することがある。なお、当該データを提供する場合、
個人情報を含まない個社名付きのデータを提供するが、大学等研究機関が発表・公表する研究成果に
ついては、個社名や個社名が類推できるような記載は一切行わないことを誓約させるものとする。
ただし、経済産業省に対しては健康経営の推進や研究のための活用及び健康経営推進状況の公表を
目的とした場合に限り、回答データを提供するものとする。
(5) 内部または外部からの告発等により取り組み状況の調査が行われる場合は、告発内容の正否に関わらず調査に
誠実に対応すること。
(6) 法令遵守状況その他社会通念に照らしてふさわしくないと判断される場合、
認定されないまたは認定後においても認定取り消しとなる場合があること。
(7) 従業員代表に本申請内容の全てを共有すること。
※従業員代表の条件は36協定に準じるものとし、36協定を締結していない場合は事業場等における従業員の
過半数を代表する者(管理監督者・役員を除く)とする。
※「長時間労働等に関する重大な労働基準関係法令」とは具体的には以下の法令の条項をいう。
労働基準法第4条、第5条、第15条第1項及び第3項、第24条、第32条、第34条、第35条第1項、第36条第6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)、第37条第1項及び第4項、第39条第1項、第2項、第5項、第7項及び第9項、第56条第1項、第61条第1項、第62条第1項及び第2項、第63条、第64条の2(第1号に係る部分に限る。)、第64条の3第1項、第65条、第66条、第67条第2項の規定並びに第141条第3項(労働者派遣法第44(第4項を除く。)の規定により適用する場合を含む。)及び最低賃金法(昭和34年法律第137号)第4条第1項


この誓約事項をしっかり読み、誓約のサインとして『誓約日・申請者(法人名)・誓約者(法人の代表者名)・従業員代表』を記入します。
【やることリスト】
①「誓約事項」をしっかり読む
申請フォーム内の【誓約事項】欄に記載されている内容は、認定の重要な前提です。
②法令遵守体制を社内で確認しておく
自主申告制だからといって形だけにならないように、以下のような確認や体制づくりをしておくと安心です。
◎ハラスメント防止・コンプライアンス研修の実施
◎労働時間・最低賃金などの法令違反がないか社労士等でチェック
◎リスクマネジメントに関するルール整備(BCP等があれば尚良)など
③必要事項を記入する
◎誓約日
◎法人名
◎法人の代表者名
◎従業員の代表者名(労働組合などがある場合はその代表者など)

この項目は「記入=申告」となり、裏付け資料の提出は不要ですが、内容に虚偽があれば認定が取り消される可能性があります。
ただ読んで記入するのではなく、体制を社内で確認してから記入をしましょう!
3.まとめ
◎この項目は「自主申告制」=企業が自主確認をして誓約する形式
◎該当箇所では、申請書の「誓約事項」を確認して次の内容を記入する
・誓約日
・法人名
・法人の代表者名
・従業員の代表者名(過半数代表など)
◎誓約する主な内容
・法令(労働基準法など)を守っている
・年1回の健康診断を実施している
・(従業員50人以上の場合)ストレスチェックも実施
・ハラスメントなどへの体制も整っている、など
◎虚偽の申告をすると、認定取り消しの可能性あり
◎社内の体制を確認しておきましょう!


