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健康経営優良法人を目指したいけど…
『健康経営の具体的な推進計画』って、何を書けばいいのか分からない…。

Sailing Dayの羊一です。
そんな方のために今回は、推進計画の具体的な内容をわかりやすく解説します。
まずはこの記事を読んで、計画づくりの一歩を踏み出しましょう!
1. 健康経営優良法人の認定要件
『健康経営優良法人認定制度』は経済産業省が健康経営の取り組みをする企業を“見える化”して応援するために、2016年に作られた評価制度です。
認定要件の 3.制度・施策実行に、【健康経営の具体的な推進計画】があります。

これは必須項目です。
やらなければ『健康経営優良法人』には認定されません!


では、この健康経営の具体的な推進計画とは何かを見ていきましょう。
2. 健康経営の具体的な推進計画とは?
健康経営の推進計画は、単なる思いつきや一度きりの取り組みではなく、「いつ・誰が・何を・どこまでやるか」を整理して、PDCA実行計画表に落とし込んだ行動計画のことです。


健康経営においてもこのPDCAを意識した取り組みが大切です!
(1)PDCAの例
①Plan(計画)
社員のストレス軽減と職場環境の改善
◎社員アンケートで「人間関係のストレス」が多いと判明
◎高ストレス者の割合を1年で20%→10%へ減らすことを目標に設定
◎取り組み内容を「ストレスチェック年2回の実施+面談体制の整備」と定める
◎実施責任者:総務部長、実施期間:4月〜翌年3月
②Do(実行)
実際に行ったこと
◎4月と10月にストレスチェックを実施
◎高ストレス者には外部専門家(公認心理師)によるフォロー面談を実施
◎管理職向けに「傾聴と対話」の社内研修を実施(年2回)
③Check(評価)
成果の測定と振り返り
◎ストレスチェック結果を前年と比較し、高ストレス者の割合を集計
◎管理職研修後、職場内の「話しやすさ」に関する満足度が向上
◎高ストレス者の割合:20% → 12%に改善(目標には少し届かず)
④Act(改善)
次年度への見直し内容
◎ストレスチェック後のフォロー面談の実施率が70%だったため、希望制ではなく原則実施へ
◎管理職の対応力に差があったため、研修を「階層別」に実施
◎翌年度の目標を「10%以下の維持+職場満足度80点以上」と再設定

言葉だけではイメージしづらい健康経営の推進計画。
実際に健康経営優良法人として認定された中小企業の事例を見ながら、どのような取り組みが評価されたのかを見ていきましょう。
3. 企業事例
株式会社ケィテック
【健康経営に取り組み始めたきっかけ】
仕事柄残業時間が膨大になりメンタル不調が課題に
技術エンジニアリング業を行っており、客先常駐して仕事を行っている。仕事柄残業時間が膨大になり、
健康の課題を抱える従業員やメンタル不調になる従業員が多く見られ改善したいと思っていた。
【スローガン】
「みんな元気2022活動」で現状把握から注力分野の取り組みに繋げる
①取り組みの背景
健康アンケートを実施し、アンケートの結果からどういった項目を目標として設定するのが良いか検討し、従業員の方々が取り組みやすいと思われる内容をピックアップした。まずは食事・睡眠・歩くことなどについて、従業員に対して何かきっかけになればと考え、目標を設定している。
②取り組みの目標
「みんな元気2022活動」と称して項目を設定してそれぞれで目標を設定している。
目標値については、例えばウォーキングの項目であれば、「現在ウォーキングをしてない従業員がどれくらいの目標であれば達成できるか」ということを意識して評価基準を設定しており、取り組みやすいことを意識している。
③具体的な取り組み内容
具体的な実施項目(1日3食の摂取、睡眠時間、ウォーキング有給休暇の取得、健康セミナーの視聴、減量、禁煙推奨、運動会実施など)の目標を定めて従業員の活動状況をポイント制とし、半年ごとに自己申告をして、その程度によりQUOカードを贈呈する。禁煙の取り組みでは「禁煙の勧め」といった会長からの手紙を給与明細の中に同封して必ず目に触れる仕組みにした。
④取り組みの結果
みんな元気2022活動の上期の結果では食事摂取、有給取得、禁煙の項目で80%以上の従業員が目標を達成した。アンケートを取ることでこれから注力すべき項目も明らかになった。

従業員が取り組みやすい内容でポイント制にし、達成できた時にインセンティブがもらえるというのは、従業員にとって、とてもやる気の出る施策ですね!
ここからは、実際の健康経営優良法人の申請フォームのチェック項目を見ていきましょう。
4. 健康経営の具体的な推進計画のチェック項目
経済産業省が認定している「健康経営優良法人認定制度」には、申請する時に以下のチェック項目があります。
Q.自社従業員の健康課題を踏まえ、健康経営の具体的な推進計画等を定めていますか。(1つだけ)
1.具体的な推進計画を策定し、数値目標、実施主体、達成期限を定めて推進している
2.特に定めていない(定めていない項目がある) ⇒健康経営優良法人不認定

健康経営の具体的な推進計画を定めていないと、不認定になってしまいます。
Q.(Q10で「1」とお答えの場合)
どのように従業員の健康課題を把握していますか。(いくつでも)
1.健康診断結果を集団ごとに集計・分析をして把握している
2.ストレスチェック結果を集団ごとに集計・分析をして把握している
3.勤怠管理システム等から勤怠データ、有給取得状況等を集計・分析をして把握している
4.産業医、保健師、地域産業保健センターの担当者等の産業スタッフとの対話を通して把握している
5.保険者との対話を通して把握している(協会けんぽが実施するヘルスケア通信簿等を含む)
6.健康経営アドバイザーや外部コンサルとの対話を通して把握している
7.独自に健康課題に関する従業員アンケートを実施して把握している
8.従業員との個別面談やミーティングを通して健康課題を把握している
9.従業員本人に健康課題や目標を記載してもらっている

健康課題の把握をどのようにしているか詳しく聞かれています。
この後は具体的な内容について【課題のテーマ 選択肢一覧】から選び、記述式で問われます。
Q.(Q10で「1」とお答えの場合)具体的な内容についてお答えください。
◆課題・計画が複数ある場合は、最も注力している課題についてご記入ください。
◆今年度取り組まれている健康経営の具体的な推進計画についてご回答ください。
◆目標として数値以外を掲げている場合であっても、現状値・目標値は数字に直して記載ください。(例:全員⇒100% 等)
【課題のテーマ 選択肢一覧】
1.健康状態にかかわらず全従業員に対する疾病の発生予防
2.生活習慣病等の疾病の高リスク者に対する重症化予防
3.メンタルヘルス不調等のストレス関連疾患※の発生予防・早期発見・対応(職場環境の改善等)
4.従業員の生産性低下防止・事故発生予防(肩こり、腰痛等筋骨格系の症状や、睡眠不足の改善、転倒予防)
5.女性特有の健康関連課題への対応、女性の健康保持・増進
6.休職後の職場復帰、就業と治療の両立
7.労働時間の適正化、ワークライフバランス・生活時間の確保
8.従業員間のコミュニケーションの促進
9.従業員の感染症予防(インフルエンザ等)
10.従業員の喫煙率低下

(a)課題テーマを決める
⬇️
(b)課題の内容
⬇️
(c)数値目標の内容と期限
⬇️
(d)推進計画
の流れで書いていきます。
(1)具体的な内容の記入例

(出典:健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定申請書)

少し面倒だと感じますが、テーマを選び、内容・数値目標・期限・推進計画を記入例を参考に書いていきましょう。
(2)推進計画のポイント5つ
①健康課題の把握
まずは自社がどんな健康課題を抱えているのか現状把握をする。
➡️・健康診断
・ストレスチェック
・勤怠データ
などを使って、社員の健康状態をつかむ。
②数字で目標を立てる
具体的に数値を使って目標を立てる。
➡️・健康診断の受診率を100%に
・有給休暇の取得率を70%に
・BMI25以上の人を15人以下に
など具体的なゴールを設定する。
③担当者を決める
健康経営優良法人の必須項目に「健康づくり担当者の設置」がありますが、従業員数が多い場合、業務量が多くなりがちなので分野ごとに担当者を設置するのもおすすめ。
➡️部署や担当者の役割分担をはっきりさせる。
④スケジュールを決める
申請フォームにも記入しますが、目標ごとに必ず期限(時期)を設定しておく。
➡️年間スケジュールや、実施時期をざっくりでも良いので記載する。
⑤見直しや改善
健康経営優良法人の認定は毎年あるので、次年度に向けて振り返りと新たな目標を決める。
➡️実施後の振り返りや、改善のアクションまで盛り込むと計画として完成度が高まる。


①自社の健康課題
②具体的な目標を数字で表す
③担当者設置
④スケジュールを決め、計画的に健康経営を進める
⑤実施したあと必ず振り返り&改善に向けての目標を決める
この繰り返しが『健康経営の具体的な推進計画』ということですね。
5. まとめ
◎健康経営の具体的な推進計画
▶︎認定要件の必須項目。
◎PDCAの考え方
▶︎(計画➜実行➜評価➜改善)で行動計画を整理することが高評価につながる。
◎企業事例から学ぶ
▶︎従業員が取り組みやすい内容で、インセンティブをなど楽しく取り組むことができる施策を考えると、達成率が上がりやすい。
◎申請フォームは記述式もある
▶︎①テーマ
②課題の内容
③数値目標と期限
④推進計画(取り組んだ内容)
をしっかり書けるように計画(スケジュール)を決める。
◎計画を「作って終わり」にせず、実行・評価・改善までやり切ることが成功のカギ。


