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気づけば仕事ばかりで、家族との時間がない…
この働き方で本当に幸せなのかな?
多くの中小企業では人手不足や納期のプレッシャーから仕事中心の生活になりがちです。

Sailing Dayの羊一です!この記事では「ワークライフバランス」の意味とメリットをわかりやすく解説し今日からできるシンプルな改善策を紹介します。

1. ワークライフバランスとは?
「仕事」と「生活」を調和させ、どちらもおろそかにしない働き方のことです。
決して「仕事を頑張る=生活を犠牲にする」状態ではなく仕事も私生活も両方大切にできている状態を指します。仕事に費やす時間と家族との時間や趣味・休養など私生活に費やす時間とのバランスを適切に保つ考え方です。
(1)頑張りすぎのマイナス効果
▶︎毎日残業で家族と過ごす時間がほとんどない。
▶︎休日もメールや電話に追われ気持ちが休まらない。
▶︎仕事を優先するあまり趣味や運動習慣をあきらめている。

こうした状況が続くと本人だけでなく周囲にもじわじわと悪影響が広がります。
✖️体力の低下や慢性的な疲労で仕事のパフォーマンスが落ちる
✖️会話が減り家庭の雰囲気がぎくしゃくする
✖️趣味や運動をやめてしまいストレスを発散できない
✖️気持ちがふさぎ込みモチベーションが続かない

仕事も大事。でも“生活を犠牲にする働き方”は長続きしません。
では、そのまま続けるとどんな影響が出るのか、具体的に整理してみましょう。
(2)放置するとこんな影響が…
時間軸 | 主なリスク | 具体的な影響 |
---|---|---|
短期的 | 慢性的な疲労・睡眠不足 | 集中力低下、ミスの増加、イライラしやすくなる |
中期的 | 家庭や人間関係の不和 | 家族との会話減少、趣味・交流の喪失、ストレス蓄積 |
長期的 | 健康被害・離職リスク | 生活習慣病、メンタル不調、過労死ライン超え、会社への定着率低下 |
実際、厚生労働省は「月80時間を超える残業=過労死ライン」と定義しておりこれを超える働き方は心身に深刻ダメージを与えると警鐘を鳴らしています。

つまり、「なんとか頑張れているつもり」でも知らず知らずのうちに限界を超えている危険性があるのです。その結果、家庭との不和や職場での人間関係の悪化、離職につながるケースも少なくありません。
2. ワークライフバランスが注目される理由
では、なぜ今ワークライフバランスがこれほど注目されているのでしょうか?
背景には日本の働き方の現状や社会の変化があります。
ここでは数字で見る日本の現状とワークライフバランス推進による企業・社員双方の効果を見ていきましょう。
(1)数字で見る日本の現状

数字で見てみると、日本の働き方には“休暇の少なさ・睡眠不足・両立の難しさ”という課題がくっきり浮かび上がってきます。
項目 | 日本の現状 | 具体的な比較・コメント |
---|---|---|
有給休暇の取得率 | 約63%(2023年) | 主要国は80~90%台(例:フランス 約90%、ドイツ 約88%)。日本は主要国に比べ取得が少ない。 |
平均睡眠時間 | 約7時間22分(/日) | OECD33か国中で短い水準。世界平均(約8時間28分)より約1時間短い。 |
共働き世帯数 | 約1,206万世帯(2023年) | 専業主婦世帯(約384万世帯)のおよそ3倍。家事・育児と仕事の両立が多くの家庭で課題に。 |
上記から、日本では休暇取得の少なさや睡眠時間の短さ、そして家事・育児との両立といった問題が浮き彫りです。「長時間働くのが当たり前」「休みより仕事優先」という風土が根強く結果として過労や睡眠不足、家庭との両立困難といった弊害が生じています。

このような状況を改善しようと政府や企業も働き方改革や休暇取得促進に乗り出しているのです。
(2)会社と社員に広がる効果
ワークライフバランスの推進は、単に社員の生活を豊かにするだけでなく企業全体にも大きなプラス効果をもたらします。

ここでは主な4つの効果を見てみましょう!
①生産性アップ
社員が十分な休息と生活の充実を得ることで集中力が高まり仕事の生産性が向上します。
不必要な長時間労働を減らせばかえって効率的な働き方が可能になります。
②人材の定着
働きやすい職場は離職率が下がり優秀な人材の定着・確保につながります。
ワークライフバランスを整えている企業ほど従業員の満足度が高く転職や退職を減らせる傾向があります。
③健康維持・メンタルヘルス向上
過度な残業や休み不足を是正することで過労による健康被害やメンタル不調を予防できます。
十分な睡眠と休養はストレスを軽減し、社員の心身の健康度を高めます。結果として病欠の減少や医療費削減にも寄与します。
④社員の幸福度向上
仕事だけでなく家庭や趣味も充実できれば社員のライフサティスファクション(人生の満足度)が高まります。
プライベートが充実した社員はモチベーションも上がり職場にも良い影響を与えます。
社員の幸福は企業の持続的な成長戦略の一部とも言えるでしょう。

つまり、ワークライフバランスは社員の「幸せな暮らし」と会社の「成長」のどちらにも欠かせないものなのです。だから今こそ国や企業が一緒になって「仕事と生活の調和」を実現していくことが求められているのですね!
3. ワークライフバランスを整えるための具体策
それでは具体的にワークライフバランスを良くするにはどんな方法があるでしょうか?

ここでは今日から取り入れられるシンプルな改善策を3つの視点で紹介します。中小企業でも実践しやすいポイントばかりなのでぜひチェックしてみてください。
(1)働き方の工夫
勤務スタイルそのものを見直す工夫です。
限られた時間で効率よく働き生産性を維持しながら労働時間を短縮しましょう。
フレックスタイムで出退勤を柔軟に
育児や介護と両立しやすく生活に合わせて働けるため満足度が向上。必要な時間に集中でき残業削減にもつながります。
テレワークで通勤ストレスを解消し往復時間を有効活用
テレワークは通勤負担を減らし9割の社員が満足。自宅環境次第で生産性も十分保てます。
会議は30分以内に効率化
議題を事前共有し発言時間を区切るなど効率化を徹底。「会議しないと決められない」文化からの脱却にもつながります。
(2)休み方の工夫
休暇の取り方や残業習慣を見直す工夫です。
意識的に「休む日」を作りリフレッシュできる職場風土を醸成しましょう。
週に一度は「ノー残業デー」を設定
水曜や金曜に定時退社を徹底すれば「帰りづらい空気」がなくなり業務の優先順位付けも上手になります。部署ごとに交代で実施する方法も有効で会社全体で定時退社を推奨する雰囲気づくりが重要です。
有給は義務の年5日が最低ライン
上司が率先して休み、予定を共有すればチームでフォローし合い計画的に休暇を取れます。
年に一度は5~7日間の連続休暇を推奨
復帰後は集中力が高まり生産性や満足度も向上します。連休取得をルール化することが安心して働ける職場づくりの鍵です。
(3)心と体を整える工夫
社員の心身のコンディションを良くする習慣づくりです。
日頃から健康管理をサポートし生産性の土台を強化しましょう。
朝に体を動かす習慣は仕事効率アップに直結
ラジオ体操やウォーキングで血行や脳を活性化でき睡眠の質や気分も安定します。社員同士の朝活(ヨガ・ストレッチ等)も効果的です。
社食やお弁当補助で栄養バランスを支援
集中力向上・欠勤防止に直結。健康経営は“食”から実現できます。
10分の仮眠で午後の集中力アップ
仮眠を「仕事の一部」と捉える環境づくりが生産性と判断力を高めます。

以上のような働き方・休み方・健康管理の工夫を組み合わせることで社員一人ひとりのワークライフバランスは確実に改善していきます。では実際にそれらを取り入れ効果を上げた企業の事例を見てみましょう。
4. 企業事例

ここからは実際の企業の取り組み事例を2つ紹介します。業種も規模も異なる企業がそれぞれ創意工夫でワークライフバランスを推進し良い成果を出した例です。自社で施策を考える際のヒントにしてください。
(1)株式会社えぷろんフーズ
(愛知県/食品スーパー/社員92人パート533人)
30年近く日曜定休を貫き従業員の家族時間を確保。地域からも支持される笑顔あふれる職場を実現しています。
【施策】
①日曜定休の徹底
開業以来30年にわたり毎週日曜を定休日とし社員やパート従業員が家族と過ごす時間を確保。年末年始やお盆も休業するなど「日曜は家族で」という創業者の思いを貫いています。
②有給連続取得制度(リフレッシュ休暇)の拡充
2019年に最大10連休のリフレッシュ休暇を導入し若手社員を中心に活用が進んでいます。
③残業削減と柔軟な働き方
勤務時間管理「レイバースケジュール」とIT活用で、所定時間内の業務完了と十分な休憩を両立しました。
【成果】
従業員の満足度向上と定着率の改善
◎ 日曜定休と長期休暇で家庭との両立が可能に
◎ 育児期でも離職せず働ける環境を実現
◎ 社員が笑顔で働ける職場づくりにつながった
業績・採用面への好影響
◎ 日曜定休でも業績は好調
◎ 笑顔の職場がサービス向上につながる
◎ 働きやすさが人材確保と会社の成長を後押し

えぷろんフーズの一番の強みは「人を大事にする姿勢」。
日曜定休や長期休暇制度で家族との時間を守りつつ働きやすい仕組みを整えたことで社員は笑顔で仕事に向き合える、その結果サービス品質も上がりお客様の満足度や会社の成長にもつながっています。
まさに「社員の幸せ=企業の力」を証明する好事例だと言えます。
(2)株式会社資生堂
(東京都/化粧品メーカー/連結従業員数約3.7万人)
30年以上前から「働き方改革」の先駆けとしてフレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入。多様な人材が活躍できる仕組みを整え社員の生活と仕事の両立を支えています。
【施策】
① フレックスタイム制度の導入
1980年代から柔軟な勤務制度を導入。コアタイムの有無を見直し社員が家庭や生活に合わせて働けるよう改善を重ねています。
② 在宅勤務制度の推進
コロナ禍以前から在宅勤務を導入。育児や介護と両立しやすくするほか通勤時間削減による生産性向上を実現しました。
③ 男性育休の取得促進
育児休業制度を充実させ近年は男性社員の育休取得率も大幅に向上。家庭参加を自然な選択肢にする文化づくりを進めています。
【成果】
多様な働き方による社員満足度向上
◎ 柔軟な勤務制度と在宅勤務で育児・介護と両立しやすい環境を実現
◎ 社員エンゲージメントが向上
◎ 優秀な人材の定着につながる
生産性と企業ブランドの向上
◎ 働きやすさ改善で社員の集中力と生産性が向上
◎ 企業のブランド価値向上に寄与
◎ ダイバーシティ経営の先進企業として国内外から評価

資生堂は“働き方の先駆者”。フレックスタイムや在宅勤務を早くから整え社員のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を実現してきました。その結果、社員の満足度と生産性が高まり世界に誇れるブランド力にも直結しています。「人を大切にすることが企業の競争力につながる」まさにそのお手本ですね。
(3)中小企業と大企業の事例比較
項目 | えぷろんフーズ(中小企業) | 資生堂(大企業) |
---|---|---|
独自の取り組み | 30年近く日曜定休を徹底し、全従業員が家族と過ごせる時間を確保 | 1980年代からフレックスタイム導入、在宅勤務や男性育休制度も整備 |
働き方改革の工夫 | リフレッシュ休暇制度(最長10連休)や「レイバースケジュール」で残業削減と柔軟勤務を実現 | コロナ前から在宅勤務を推進。育児・介護と仕事の両立を支援し、生産性向上へ |
成果 | ◎家庭と両立しやすく離職率低下 ◎社員の笑顔がサービス品質向上に直結 ◎新規応募者が急増し人材確保にも効果 | ◎社員満足度・定着率の向上 ◎生産性アップがブランド力強化につながる ◎ダイバーシティ経営の先進企業として評価 |
成功要因 | ◎「人を大事にする姿勢」を徹底 ◎社員の家族時間を守る文化を定着 | ◎柔軟な働き方を早期に導入 ◎多様なライフスタイルを尊重し制度を進化 |

ワークライフバランスは“ぜいたく”じゃなく“戦略”です。社員の生活を大事にすることで仕事の質も上がり会社も成長する。小さな工夫から始めて「働きやすさが強みになる会社」をつくっていきましょう!
5. まとめ
◎ ワークライフバランスの基本を理解する
▶︎「仕事も生活も大切にする」という考え方
▶︎ 長時間労働や休暇不足は健康・家庭・職場すべてに悪影響
◎ 頑張りすぎの代償を知る
▶︎ 短期的には疲労や集中力低下、中期的には家庭不和、長期的には健康被害や離職リスクへ直結
▶︎ 「働きすぎ=会社の損失」と認識することが第一歩
◎ 日本の現状から見える課題
▶︎ 有給取得率は63%で主要国に比べ低水準
▶︎ 平均睡眠時間はOECD最短クラス(約7時間22分)
▶︎ 共働き世帯が1200万超え、家庭と両立の難しさが増大
◎ 企業と社員に広がる効果
▶︎ 生産性アップ・人材定着・健康維持・幸福度向上
▶︎ 「社員の幸せ=会社の成長」に直結する
◎ 今日からできる小さな工夫
▶︎ フレックス・在宅勤務・会議短縮など働き方の工夫
▶︎ ノー残業デーや連続休暇など休み方の工夫
▶︎ 朝運動・栄養食・仮眠など心と体を整える工夫
◎ 実際の成功事例に学ぶ
▶︎ えぷろんフーズ:日曜定休・長期休暇制度で家族時間を確保し人材定着
▶︎ 資生堂:フレックス・在宅勤務・男性育休促進で多様な働き方を実現。制度の進化がブランド力向上につながった

