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曲げわっぱの魅力に惹かれ、いざ購入を検討すると「どのメーカーを選べばいいの?」と迷う人は少なくありません。
今回は曲げわっぱ記事後編としてなかでも代表的な 大館工芸社・柴田慶信商店・栗久の3社 を中心に比較し、それぞれの魅力と選び方をわかりやすく解説します。

さらに、大館の食文化を語るうえで欠かせない「花善の鶏めし」と曲げわっぱの関係、そして最後には“秋田は杉の産地なのに花粉症が少ない理由”という小ネタも紹介します!
1. 大館曲げわっぱメーカー比較
| メーカー | 創業年 | 法人形態 | 所在地 | 特徴・職人 |
|---|---|---|---|---|
| 大館工芸社 | 1959年4月 | 株式会社 | 秋田県大館市釈迦内字家後29-15 |
曲げわっぱ製造30名(伝統工芸士5名) 秋田杉一貫加工 |
| 柴田慶信商店 | 1966年(創業) | 有限会社 | 秋田県大館市御成町2-15-28 |
白木無塗装が中心 丸・小判型が基本、角に丸みのあるデザイン |
| 栗久 | 1874年(明治7年) | 有限会社 | 秋田県大館市中町38 |
6代続く老舗。無塗装とウレタン塗装の2段弁当が有名 丸みある入れ子式の美しいシルエット |

大館の曲げわっぱを語るとき外せないのが 、この大館工芸社・柴田慶信商店・栗久 の3社です。それぞれ歴史のあるメーカーでありながら、製法やデザイン、価格帯に明確な違いがあり、ユーザーの目的によって“向いているわっぱ”が変わります。まずは大館工芸社から見ていきましょう!
(1)大館工芸社(おおだてこうげいしゃ)大館を代表するメーカー
大館工芸社は1959年創業の株式会社。自社工場で 製材から仕上げまで一貫生産 を行い伝統工芸士5名を含む約30名の職人 が曲げわっぱづくりに携わっています。
直線的でスタイリッシュなデザイン
大館工芸社の製品はスッとした直線的なフォルム が多いのが特徴。シンプルで現代の暮らしに馴染みやすく、男女問わず人気があります。
塗装モデルも豊富
◎拭き漆仕上げ
◎ウレタン塗装モデル
といった選べる仕上げがあり「木肌を楽しみたい」「扱いやすさ重視」など、使い手の好みに合わせて選びやすいラインナップです。
ラインナップが圧倒的に豊富
大館工芸社の魅力は何といっても商品展開の広さ。
◎定番の弁当箱
◎特大サイズ
◎米びつ
◎お櫃(おひつ)
◎キッチン用品
など、用途に合わせて多彩なアイテムが揃います。
価格と品質のバランスが良く初心者に最適
手に取りやすい価格帯でありながら、丈夫で扱いやすく品質が安定しているため「初めて曲げわっぱを買う」という人にもっとも選ばれているメーカーといえます。

迷ったら大館工芸社!品揃え豊富、買いやすい価格、使いやすさ◎、デザインも現代的。曲げわっぱデビューにぴったりの大館の定番メーカー です。
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(2)柴田慶信商店(しばた よしのぶ しょうてん)“白木仕上げ”の本格派
柴田慶信商店は1966年創業1989年に有限会社化。白木(無塗装)仕上げの美しさを追求し“使いながら育てる曲げわっぱ” を象徴するメーカーです。
白木仕上げ × 経年変化が美しい
柴田慶信商店の曲げわっぱは無塗装の白木仕上げ が最大の魅力。使い込むほどに白木 → 黄金色の飴色へ と変化し、“経年変化が楽しめるわっぱ” を求める人に人気です。木肌の呼吸を妨げないため、ご飯のふっくら感も抜群です。
桜皮で留める伝統美
合わせ目を留める 桜皮(かば) の美しさは格別。細部まで丁寧に仕上げられており、職人技がひと目で伝わる上質さがあります。
「一生ものとして大切に使いたい」という人に圧倒的な人気です。
丸みのあるやさしいデザイン
柴田慶信商店の弁当箱は角を面取りしたやわらかな曲線 が特徴。
◎触れたときの心地よさ
◎手に馴染む丸み
◎温かみのあるフォルム
が、多くのファンを惹きつけています。
代表作は「丸弁当箱」「小判弁当箱」「長手型」
・丸弁当箱(丸型)
◎柴田慶信商店の白木仕上げを最も堪能できる定番の形。
◎丸い形は 詰め方の自由度が高く、見た目も美しく仕上がる のが魅力。
◎おにぎり・混ぜご飯・彩り弁当など、幅広いメニューと相性抜群。
◎「柴田慶信商店らしさ」を最も感じたい人におすすめ。
・小判弁当箱(楕円)
◎楕円のフォルムは 手に馴染みやすく、机に置いたときも安定。
◎角がないので おかずが詰めやすい万能型。
◎和洋どちらのスタイルにも合わせやすく、初めての曲げわっぱにも人気。
・ おひつ(飯器)
◎柴田慶信商店を代表する一品。
◎白木のおひつは、必要な水分を適度に戻し、炊きたての美味しさを長く保つと評判。
◎合わせ目には熟練技の 「桜皮どめ(かばどめ)」 を使用。
◎黒褐色の桜皮がアクセントとなり、伝統美と機能性を併せ持つ仕上がり。

すべて 白木無塗装の仕上げ のため、手入れをしながら育てる楽しさがあります。柴田慶信商店の魅力が詰まった代表的モデルです!
ワークショップ併設で“作り手体験”も
社内にはワークショップがあり曲げわっぱの製作体験 を提供。ただ買うだけでなく「つくる楽しさ」まで味わえるのが大きな魅力です。

柴田慶信商店は丁寧に育てたい人向けの“本格派わっぱ”!白木無塗装の美しさ、経年変化を楽しめる、デザインも柔らかく上質、価格は高めだが満足度は高い。手入れを楽しめる人、道具を育てたい人に最適なメーカー です!
(3)栗久(くりきゅう)デザイン×実用性の“ちょうどいい”曲げわっぱ
栗久(有限会社栗久)は、1874年創業の老舗。現在は 6代目・栗盛俊二氏 が伝統を受け継ぎ、“使いやすさ” と “暮らしへの馴染みやすさ” を大切にした現代的な曲げわっぱづくりを続けています。
デザイン性と実用性のバランスが抜群
栗久が支持される理由は、美しいデザイン × 毎日使える気軽さ のバランス。
◎薄く軽やかで持ち運びしやすい
◎直線と曲線のバランスが良く手に馴染む
◎“木のぬくもり” を感じながらも現代的
ウレタン塗装モデルが使いやすい
栗久は ウレタン塗装のモデルが豊富。
◎仕上げが丈夫
◎汚れがつきにくい
◎管理が簡単で初心者にも安心
「毎日のお弁当に使いたい」「忙しいからお手入れはラクがいい」そんな人と相性抜群です。

もちろん 白木(無塗装) モデルもあり用途に合わせて選べます。
創作曲げわっぱでグッドデザイン賞受賞
栗久は伝統を守るだけでなく創造的な挑戦も積極的に行うメーカー。
なかでも注目なのが円錐形の創作曲げわっぱ。丸みのある独特のシルエットが評価されグッドデザイン賞を受賞 しています。伝統とモダンを融合させる栗久の姿勢がよく表れた代表作です。
看板商品「入れ子式二段弁当」
栗久の定番であり人気モデルが二段の入れ子式(スタッキング)弁当箱。
下段:無塗装のご飯容器
上段:ウレタン塗装のおかず容器
各段は“単独で使える”設計で重ねるとコンパクトで持ち運びしやすい!この“賢い構造”が高く評価されリピーターも多い商品です。

栗久は“日常のお弁当を心地よくする曲げわっぱ” を探している人にぴったりのメーカーです。
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大館にはこの3社のほかにも少量生産を行う「りょうび庵」や、一点物・オーダーメイドを手掛ける「工房るわっぱ」など手仕事にこだわる個性豊かな工房もあります。“特別な一本” を求める人には、こうした工房も魅力的な選択肢です。
2. 大館が育んだ最強の組み合わせ!花善「鶏めし」と曲げわっぱ
(1)食文化 × 工芸 × 林業が重なって生まれた“大館らしさ”
大館の名物といえば、曲げわっぱと並んで全国にファンを持つ 花善(はなぜん)の「鶏めし」。
実はこの鶏めし、かつて 曲げわっぱの弁当箱 で提供されていた時期がありました。
杉の曲げわっぱは 吸湿性が高く、冷めてもご飯がべたつかない という特長を持ち甘辛い味付けの鶏めしとの相性は抜群。

「曲げわっぱで食べる鶏めしは格別」そんな声が今も途絶えないのは、杉の力が味わいを引き立てているからです。
鶏めしの背景には実は大館の食文化と林業の歴史 が深く関係しています。
秋田杉を使った伝統工芸「曲げわっぱ」
大館の生活に根付いた郷土の味「鶏めし」
この2つが揃うことで、大館という土地のストーリーがより立体的に浮かび上がります。
わっぱを選ぶときも単なる弁当箱としてではなく「地域文化の延長線上にある道具」として捉えると、作り手・街の歴史・素材への理解が深まり使うほどに愛着が増していきます。

最後に花粉症についての豆知識です!秋田といえば杉の名産地。ところが意外なことに“花粉症の人が他地域より少ない”と言われることがあります。その理由とは…
3. 秋田は杉の産地なのに花粉症が少ない理由
①秋田杉は本州各地のスギと比べて 花粉の飛散量が少ない品種 が多いとされている
そもそもアレルゲンとなる花粉の量が比較的少なく、加えて秋田の冬は長く雪も多いため、花粉が飛び始める前に雪が花粉を落とすこともしばしば。結果として飛散期間そのものが短くなりやすい環境です。
②林業地域として森林がきちんと整備されてきた土地柄
秋田の森はスギがぎっしり密集した人工林ではなく、適度に間伐され広葉樹も混ざる“整った森林構造” が多いのが特徴です。
このような森は、
スギが密集しないため花粉の生産量が増えにくい
風の流れが分散し花粉が遠くまで飛びにくい
樹齢が偏らず花粉を多く出す木が集中しない
といった性質があり、結果として 花粉の飛散が抑えられやすい環境 になっています。

つまり、整備された “混合林・間伐林” は、花粉が大量に生産されにくく飛散もしにくい森になるのですね!
4. まとめ
◎ 大館工芸社:はじめての曲げわっぱに最適
▶︎ 自社一貫生産で品質が安定し価格とのバランスが抜群。
▶︎ 直線的で現代的なデザインが男女問わず使いやすい。
▶︎ 漆・ウレタンなど仕上げの選択肢が広く初心者でも扱いやすい。
◎ 柴田慶信商店:白木を“育てる楽しみ”を味わう本格派
▶︎ 無塗装の白木仕上げが最大の特徴。使うほどに味わい深い飴色に変化。
▶︎ 桜皮どめの伝統技術が美しく手に馴染む柔らかなデザインが魅力。
▶︎ 一生ものとして育てたい人、道具を大切に扱いたい人にぴったり。
◎ 栗久:デザイン × 実用性のバランスがちょうどいい
▶︎ 軽く扱いやすいウレタン塗装モデルが豊富で毎日使いに強い。
▶︎ 入れ子式二段弁当など生活に寄り添う“かゆいところに手が届く”設計。
▶︎ グッドデザイン賞の創作わっぱなど伝統とモダンの融合が光る。
◎ 大館の食文化と曲げわっぱの深い関係
▶︎ 花善「鶏めし」は、かつて曲げわっぱで提供され味・香りの相性が抜群だった。
▶︎ 曲げわっぱは吸湿性が高くご飯が冷めてもべたつかない“理にかなった器”。
▶︎ 食文化×工芸×林業の歴史が重なり大館の暮らしを象徴する存在へ。
◎ 秋田杉は“花粉症が少ない地域がある”と言われる理由
▶︎ 秋田杉は花粉飛散量が少ない品種が多く雪により飛散期間も短い。
▶︎ 林業が盛んな地域で森林整備が進み無秩序な植林地より飛散が抑えられてきた背景。
▶︎ 曲げわっぱの素材である秋田杉を知ることで道具への理解が深まる“小さな豆知識”。
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この記事の監修 長谷 有希央
◎安眠インストラクター
◎睡眠&寝具インストラクター
◎健康経営アドバイザー
◎中小企業診断士 の資格を持つ「眠りと健康経営の専門家」です。





