錫(すず)製品の有名メーカー8選!特徴・価格・デザインを徹底比較

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錫(すず)は柔らかな光沢と良好な熱伝導、そして”使うほどに味が出る”風合いが魅力の金属です。

普段使いの器から贈答品、工芸品まで幅広く使われています。

羊一さん
羊一さん

Sailing Dayの羊一です。今回は国内の錫メーカー8社をピックアップしそれぞれの特徴・価格・デザインの比較や、なぜ富山県高岡市に工房が多いのかなど豆知識もご紹介します!

1. 錫メーカー8社比較一覧表

羊一さん
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各メーカーの主な特徴を以下の比較表にまとめました。

メーカー(所在地) 価格帯 デザイン傾向 技術・製法 創業年・歴史 用途別の強み
能作(富山・高岡) 小物3,000円台~高級品数万円 伝統技術×モダンな洗練デザイン 鋳造(100%錫鋳物)、分業による高品質生産 1916年創業(高岡銅器400年の伝統継承) 酒器・食器からインテリア雑貨まで幅広い。曲がる錫製品など革新的商品開発
大阪錫器(大阪) 中価格帯~高級品 古典意匠にモダンな要素、レトロで粋な雰囲気も 鋳造+手仕上げ(伝統工芸士多数所属) 1970年創業*(大阪の錫器は1679年起源) 伝統的な酒器全般に強み。ちろりや富士山グラスなど遊び心ある酒器も人気
薩摩錫器(鹿児島) 中~高価格帯 荘重で伝統的な意匠、鶴亀など吉祥文様も 鋳造+手仕上げ(県指定伝統工芸品、360年以上継承) 江戸初期創始(薩摩藩の保護で発展) 茶器・酒器に定評。切子風タンブラーなど華やかな酒器や記念品も
ナガエ(銀雅堂)(富山・高岡) 手頃な小物~中価格帯 現代的でオリジナリティ溢れるインテリア志向 ダイカスト鋳造等(金属加工の総合技術) 1954年創業(高岡鋳物の現代的展開) インテリア雑貨から食器まで幅広く、富士山盃や桜モチーフなど遊び心ある酒器
シマタニ昇龍工房(富山・高岡) 中価格帯 シンプルかつ機能的、工芸技術を活かした独創デザイン 鍛金(手仕上げ研磨、鎚起) 1909年創業(おりん職人の老舗) 純錫の「すずがみ」等、折り曲げて形を変えられる新感覚器が人気
清課堂(京都) 中~高価格帯 優美で格調高い伝統美、茶道具など古典的意匠 鋳造・鍛造(錫・銀・銅の総合金工) 1838年創業(江戸時代創業の錫工房) 煎茶道具や酒器など伝統用途に強み。宮中や祇園祭でも用いられる格式
炭谷三郎商店(富山・高岡) 手頃~中価格帯 素朴で実用的、伝統文様をあしらったデザインも 鋳造(高岡銅器の伝統技術を応用) 1939年創業(高岡の金属工芸問屋として創業) 箸置き・花器など暮らしの道具全般。吉祥柄の錫箸置きセットが人気
大寺幸八郎商店(富山・高岡) 手頃 古風で趣あるデザイン、小物中心 鋳造・加工(鋳物工場から観光体験工房へ転身) 1860年創業(高岡鋳物発祥の地・金屋町の老舗) 錫アクセサリー制作体験が人気。指輪やペンダントなど自作可能で観光客にも好評。鋳物風鈴等の土産物も販売
羊一さん
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以上の表から、それぞれのメーカーが持つ独自の強みが浮かび上がってきます。次に各メーカーの詳細とおすすめ製品について順に見ていきましょう!

(1)能作(富山・高岡)

伝統×革新の“曲がる錫器”ブランド

創業:1916年|高岡鋳物400年の技術を継承
特徴:100%純錫の鋳造+現代的デザイン
分業制による高精度なものづくり

人気アイテム
KAGO|自由に曲げて使える錫プレート
ビアカップ|泡がきめ細かく、口当たり◎
ぐい呑み鎚目キット|模様を打てるDIY酒器

価格帯:3,000円台~数万円
用途:自宅用にもギフトにも人気
本社で工房見学&体験もOK!

(2)大阪錫器(大阪)

粋で品のある、古典とモダンの融合

創業:1970年(※大阪の錫器文化は1679年〜)
特徴:古典的な意匠に、遊び心あるデザインをプラス
職人多数在籍|鋳造+手仕上げの伝統工法

人気アイテム
ちろり|酒を温めても風情あり
富士山グラス|底に富士が浮かぶ遊び心
酒器セット|贈答にも最適な品格デザイン

価格帯:中〜高価格帯
用途:伝統的な酒器を贈りたい方に◎
和モダンな雰囲気が好きな方にもおすすめ

(3)薩摩錫器(鹿児島)

360年超の歴史を誇る、格式高い錫器

創始:江戸初期|薩摩藩の庇護で発展
特徴:荘重で上品な吉祥文様(鶴・亀など)
伝統工芸士が手仕上げ|県指定伝統工芸品

人気アイテム
切子風タンブラー|華やかなカットデザイン
茶器セット|煎茶好きに人気
吉祥文様の酒器|慶事や記念品に◎

価格帯:中〜高価格帯
用途:人生の節目や贈り物に最適
高級感と縁起を重視したい方におすすめ

(4)ナガエ(銀雅堂)(富山・高岡)

遊び心×美意識、現代の錫ライフに寄り添う

創業:1954年|高岡鋳物を現代の暮らしに展開
特徴:ダイカスト技術で量産と繊細さを両立
モダンでオリジナル性の高いデザイン多数

人気アイテム
富士山盃|底から富士が立ちのぼる縁起グラス
桜モチーフの酒器|春ギフトにも◎
錫のインテリア小物|雑貨感覚で使える品多数

価格帯:手頃~中価格帯
用途:日常使い&カジュアルギフトに人気
若い世代・デザイン重視の方におすすめ!

(5)シマタニ昇龍工房(富山・高岡)

“すずがみ”で世界を驚かせた、折れる錫器の工房

創業:1909年|おりん職人の老舗
特徴:手作業の鍛金技術 × 錫の柔らかさ
シンプルで機能的、暮らしに馴染む造形美

人気アイテム
すずがみ|自由に折り曲げて使える錫のシート皿
酒器・小皿|ミニマルで美しい光沢
一点ごとの表情が楽しめる手作業仕上げ

価格帯:中価格帯
用途:ギフト・自宅用の“特別な日常使い”に
機能美&触感の面白さを楽しみたい方へ

(6)清課堂(京都)

格調高き京の錫工芸、1838年から続く伝統

江戸時代創業の老舗で、錫・銀・銅を用いた金工芸を手がける名門。茶道・香道の本場・京都で、宮中や祇園祭でも用いられる格式ある工房です。

特徴
・鋳造×鍛造を組み合わせた精緻な工芸技法
・優雅で静謐なデザインは、煎茶道具や香道具に最適
・錫器に加え、銀製品や銅製品も展開

人気アイテム
煎茶器セット:湯冷まし・茶壺など、茶席に映える
錫のぐい呑み:手仕事の風合いと気品が漂う酒器
香立て・香炉:香道具としても人気の高い逸品

価格帯:中〜高価格帯
 用途:本格的な茶道・酒器・贈答向け。特別感のある品を求める方に◎

京都・寺町にある店舗は、ギャラリー兼ショップ。凛とした空間で、日本の伝統工芸にじかに触れることができます。

(7)炭谷三郎商店(富山・高岡)

暮らしに寄り添う“錫の道具”が揃う老舗

創業:1939年|高岡の金属工芸問屋として始動
特徴:素朴で実用的。毎日使える錫小物が豊富
高岡銅器の伝統技術を活かした鋳造製品

人気アイテム
錫の箸置きセット|縁起柄&贈り物に人気
花器・香立てなど、和の小物多数
実用と美を兼ねた日常道具が充実

価格帯:手頃〜中価格帯
用途:季節の贈り物・ちょっとした和ギフトに
伝統を感じる「さりげない美」を暮らしに

(8)大寺幸八郎商店(富山・高岡)

体験できる鋳物工房、観光でも人気の老舗

創業:1860年|高岡鋳物発祥の地・金屋町の老舗
特徴:鋳物工場から観光体験型へ転身
古風で趣のあるデザイン。手作り感を大切に

人気アイテム
錫アクセサリー体験|指輪やペンダントをその場で制作
鋳物風鈴|やさしい音色が人気
お土産用小物|旅の記念にぴったり

価格帯:手頃
用途:旅の思い出・自分用にもおすすめ
体験重視派・観光ついでに錫を楽しみたい方に◎

2. なぜ高岡に錫工房が多いのか?

その理由は…

高岡市(富山県)は鋳物の町として400年以上の歴史を持ち、今では全国トップの鋳物生産地。1609年に加賀藩主・前田利長が開いた城下町で、鋳物師を招いたのが始まりです。
当初は鉄や銅の鍋・仏具・釜を中心に、のちに「高岡銅器」として美術品や工芸品へと発展。今では200社以上の関連工房が存在します。

錫とのつながり
かつては銅器の仕上げに錫メッキを使っていたため、職人たちは自然と錫の扱いに習熟。鋳造設備も整っていたことで、錫器への展開がスムーズに。
昭和以降、生活様式の変化に合わせて新素材を求める動きが強まり、抗菌性や柔らかさを持つ錫に注目が集まりました。

錫ブランドが続々誕生!
能作の「曲がるKAGO」
シマタニ昇龍工房の「すずがみ」
ナガエの現代風酒器や雑貨
これらは全て高岡の伝統技術×錫という新発想から生まれたもので、仏具で培った研磨・加工技術や、地元デザイナーとの協業が進化を後押ししています。

今や錫製品=高岡というブランドイメージが定着。高岡駅周辺では錫器のセレクトショップも登場し、観光客に人気のお土産となっています。

羊一さん
羊一さん

伝統を守りつつ時代とともに進化し続ける、高岡の錫工芸はそんな“ものづくり精神”の象徴なのです。

最後に錫器を選ぶ前に覚えておきたい4つの視点をまとめましたので参考にしてみて下さい!

3. まとめ

◎ 「昔ながら」と「今っぽさ」、どっちが好き?

▶︎ 400年の鋳物文化が息づく富山・高岡には、「曲がるKAGO(能作)」や「すずがみ(昇龍工房)」など革新的な錫器が多数。一方、京都・清課堂のように格式と美を極めた伝統派も存在します。まずは、どの“ものづくりの姿勢”に共感するかで選んでみましょう。

 

◎ 使うシーンを具体的に想像する

▶︎ ビールや冷酒を美味しく楽しむなら錫カップ。煎茶の時間を整えたいなら茶器系。贈り物、来客用、日常使いなど、「誰が・いつ・どう使うか?」を思い描くだけで後悔しない一品に出会えます。

 

◎ “ちょっとした特別”を暮らしに添えるなら

▶︎ 錫器は、柔らかくて温かみのある金属。使うたび手に馴染みいつもの食卓に静かな変化をもたらします。とくに曲げられるKAGOやDIYできるぐい呑みキットは、「使う楽しさ」まで味わえるのが魅力です。

 

◎ 最後は「心地よさ」で選ぶのが正解

▶︎ 高価なものではなくても構いません。「この器で飲むと落ち着く」「なんだか贈りたくなる」。そんな直感や感性こそが長く愛せる錫器選びのいちばんのヒントになります。

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この記事の監修 長谷 有希央

◎安眠インストラクター

◎睡眠&寝具インストラクター

◎健康経営アドバイザー

◎中小企業診断士 の資格を持つ「眠りと健康経営の専門家」です。