学校から帰ってきたあと、ソファでうとうとする我が子。
「小学生って、昼寝をしたら夜眠れなくならないかな?」と思ったことはありませんか。
最近は、塾や習い事、ゲームや動画など、子どもたちの生活リズムも大きく変わり、小学生でも睡眠不足が増えているといわれています。
そんな中、子どもの睡眠を見直す取り組みとして注目されているのが、大阪府堺市が行っている 「眠育(みんいく)プロジェクト」 です。

この記事では、堺市の眠育プロジェクトの取り組みをもとに「小学生に昼寝は必要なのか」「子どもの睡眠習慣を家庭でどのように整えていけばよいのか」を保護者の方に向けてわかりやすく解説します。
1. 日本の子どもの睡眠時間
小学生になると、保育園や幼稚園の頃のような「昼寝の時間」はなくなります。
そのため、昼寝をさせるべきかどうか迷う保護者は少なくありません。
こうした疑問を考えるうえで、まず知っておきたいのが日本の子どもの睡眠時間の現状です。
日本に子どもは大人と同じように、世界的に見ても睡眠時間が短い傾向があります。就寝時間は他国と比べて遅い傾向があり、睡眠時間も短いことが報告されています。(参考:OECD(経済協力開発機構))
また、文部科学省の「全国学力・学習状況調査」でも、就寝時間が遅い児童ほど学習時間が短く、生活リズムが乱れやすい傾向があります。(参考:文部科学省 全国学力・学習状況調査)
ゲームや動画視聴、塾や習い事の増加など、生活環境の変化により子どもの睡眠時間は短くなりがちです。小学生(6〜12歳)には9〜12時間程度の睡眠が推奨されていますが、日本ではその時間を十分に確保できていない小学生が多いのが現状です。
夜遅くまで起きている生活が続くと、次のような影響が出る可能性があります。
◎集中力の低下
◎学習効率の低下
◎イライラしやすくなる
◎朝起きにくくなる
◎日中の強い眠気

こうした状態が続くと、学校生活や学習にも影響が出る可能性があります。
2. 「眠育プロジェクト」とは
大阪府堺市では、子どもたちの睡眠習慣を改善する取り組みとして 「眠育プロジェクト」 が行われています。
眠育とは、睡眠の大切さを学び、生活習慣を整える教育のこと
このプロジェクトでは、子どもたちに睡眠の重要性を伝える授業や、家庭と連携した生活習慣の見直しが行われています。

具体的にどんな事をしているのか見ていきましょう!
(1)睡眠日誌で生活リズムを見える化
眠育プロジェクトでは、睡眠日誌をつける取り組みも行われています。
◎何時に寝たか
◎何時に起きたか
◎日中の眠気
これらを記録することで、自分の生活リズムを確認できるようにしています。
また、保護者への啓発活動も行われ、家庭でも睡眠習慣を見直す取り組みが進められています。
(2)その他の眠育授業


(3)眠育プロジェクトの効果
こうした取り組みの結果、堺市では「不登校」「学校不適応」「情緒面の問題」などが改善したという報告があります。
特に不登校は、3年間で約30%減少しました。
また、睡眠習慣の改善によって、子どもたちの日常生活にも次のような変化が見られました。
◎ 夜ぐっすり眠れるようになった
◎ 朝すっきり目覚められるようになった
◎ 午前中の眠気や体調不良が減った
◎ 毎日学校が楽しいと感じる子どもが増えた
◎ 学習への集中力が高まった
◎ 自分にはよいところがあると感じる自己肯定感が高まった
さらに、学校生活の面でも
◎ 授業中に歩き回るなどの行動が減少
◎ 暴言・暴力などの問題行動が減少
◎ 遅刻の改善
といった変化が報告されています。
このように、睡眠習慣を整えることは単に「眠りやすくなる」だけではなく、子どもの心や行動、学習意欲にも大きく影響する可能性があると考えられています。

堺市の眠育の取り組みは、子どもの健康だけでなく、学校生活の質を高める教育としても注目されているよ!
3. 眠育からわかる「昼寝・休息」の考え方
こうした眠育の取り組みから、子どもの睡眠習慣についていくつかの重要なことが分かってきました。
その中でも、保護者がよく悩むのが「昼寝」や「放課後の休息」の取り方です。
(1)無理に昼寝をさせる必要はない
眠育の取り組みでは、子どもの生活リズムと睡眠習慣の関係が調査されています。
その結果、小学生の場合、毎日昼寝をさせることよりも、夜に十分な睡眠を取ることが重要だと考えられています。
人の体には「体内時計」があり、夜になると自然に眠くなる仕組みがあります。
しかし、夕方以降に長い昼寝をすると体内時計が乱れ、夜に眠りにくくなることがあります。

そのため、眠育では昼寝を習慣化するよりも、夜にしっかり眠れる生活リズムを整えることが大切だとされています。
(2)放課後の短時間休息の考え方
一方で、最近は放課後に習い事へ行く子どもも増えています。
学校が終わったあとにそのまま塾、スポーツ、英会話などへ向かう生活では、夕方に強い疲れや眠気が出ることも少なくありません。
特に小学生は、学校生活だけでも多くの集中力を使っているため、放課後に一度エネルギーが切れたように眠くなることがあります。
こうした場合、習い事の前に10〜20分程度の短い休息をとることは、体と頭のリセットにつながると考えられています。短時間の仮眠には次のような効果があります。
◎ 疲労感をやわらげる
◎ 集中力を回復しやすくする
◎ 眠気によるイライラを減らす
◎ 習い事や宿題への切り替えがしやすくなる
特に、眠気が強いまま習い事に行くと集中できず、かえって疲れやすくなることもあります。そのため、少し横になる、目を閉じるだけでも休息になる場合があります。ただし、長く寝すぎると夜の睡眠に影響しやすくなるため注意が必要です。
仮眠をとる時のポイント
◎ 20分以内にする
◎ できれば16時より前にする
◎ ソファで軽く横になる程度でもよい
◎ 起こす時間を決めておく
30分以上眠ると深い眠りに入りやすく、起きたあとにぼんやりしたり、夜に寝つきにくくなることがあります。そのため、放課後の休息は「しっかり寝る」よりも「短く疲れをリセットする」イメージが大切です。

20分なら夜の睡眠にも影響が出ません。
(3)昼寝をすると夜眠れなくなる?
保護者の方からよくある疑問の一つが「昼寝をすると夜眠れなくなるのでは?」というものです。
結論から言うと、昼寝の時間やタイミングによっては夜の睡眠に影響する可能性があります。
夕方以降に長く昼寝をしてしまうと、この体内時計がずれてしまい、夜に眠りにくくなることがあります。
特に次のような昼寝は注意が必要です。
◎ 夕方以降の昼寝
◎ 30分以上の長い昼寝
◎ 何時間も寝てしまう「夕寝」
こうした昼寝が続くと、夜の就寝時間が遅くなり、生活リズムが乱れてしまうことがあります。
一方で、学校から帰ったあとに強い眠気がある場合は、10〜20分程度の短い休息であれば問題になることは少ないとされています。
短時間の休息であれば、疲れをリセットし、その後の宿題や活動に集中しやすくなることもあります。
大切なのは、昼寝を習慣にすることではなく、夜にしっかり眠れる生活リズムを整えることです。

昼寝をする場合でも、時間とタイミングに気をつけることがポイントです。
4. 小学生の睡眠習慣を整える家庭での工夫
子どもの睡眠習慣を整えるためには、家庭でのサポートも重要です。
堺市の眠育プロジェクトでも、保護者と学校が協力して生活習慣を見直すことが大切だとされています。
現代の家庭では、保護者の帰宅が遅かったり、塾や習い事で忙しかったりと、早く寝る生活を作ることが簡単ではない場合もあります。
また、SNSやゲームなどがやめにくく、就寝時間が遅くなってしまうこともあります。
子どもたちの睡眠を守るために、家庭でできる工夫がいくつかあります。
(1)家庭でできる具体的な取り組み
◎ 子どもが一人でも時間になったら寝る習慣をつける
◎ 寝る前のスマホやテレビは控えるルールを作る
◎ 睡眠表をつけて生活リズムを見える化する
◎ 家族全員で早く寝るよう意識する
◎ 早く寝る日は夕食を先にとるなど生活を工夫する
こうした取り組みを少しずつ続けることで、子どもの生活リズムが整いやすくなります。
睡眠は、子どもの成長や学習にも大きく関わる大切な習慣です。

家庭でもできることから取り組み、無理のない形で睡眠習慣を整えていくことが大切です。
5. まとめ
◎ 小学生になると昼寝の習慣はなくなるが、眠気に悩む家庭は少なくない
◎ 日本の子どもは睡眠時間が短く、生活リズムの乱れが問題になっている
◎ 堺市の「眠育プロジェクト」は、睡眠教育と生活習慣改善を目的とした取り組み
◎ 小学生は昼寝を習慣にするより、夜に十分な睡眠をとることが重要
◎ 強い眠気がある場合は 10〜20分程度の短い休息なら問題になりにくい
◎ 夕方以降の昼寝・30分以上の昼寝は夜の睡眠に影響する可能性がある
◎ 家庭では 就寝時間の安定・寝る前のスマホ制限・生活リズムの見直しが大切

この記事の監修 長谷 有希央
◎安眠インストラクター
◎睡眠&寝具インストラクター
◎健康経営アドバイザー
◎中小企業診断士 の資格を持つ「眠りと健康経営の専門家」です。
◎補助金・助成金申請のお手伝いもしています。
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