毎日使う器だからこそ丈夫さや扱いやすさ、価格のバランスは気になるところです。
「おしゃれだけれど使いにくい」「気に入っても高すぎる」そんな経験がある方も多いはず。
波佐見焼(はさみやき)はそうした悩みに応える存在として、近年あらためて注目を集めています。

Sailing Dayの羊一です。後編となる今回は、数ある波佐見焼の中でも特に人気の高い白山陶器・マルヒロ・一真窯の3社に注目し、考え方やデザインの違いを比較しながらそれぞれの魅力と選び方を紹介します。

波佐見焼は「丈夫で使いやすい器」という共通点がありますが、メーカーごとに器の雰囲気や使い心地は大きく異なります。
その背景には、器づくりに対する考え方の違いがあります。
実用性を最優先するメーカーもあれば、デザイン性や手仕事の温もりを大切にする作り手もいます。
同じ波佐見焼でも「どんな暮らしを想定しているか」「誰に使ってほしいか」によって、器の形や厚み、デザインの方向性は変わってきます。

ここからは、波佐見焼の中でも特に人気の高い白山陶器・マルヒロ・一真窯の3社を取り上げます。
それぞれがどんな考え方でものづくりをしているのか、器の雰囲気や向いている暮らしの違いに注目しながら見ていきましょう。
1. 白山陶器とは?長く愛される理由
白山陶器(はくさんとうき)は、波佐見焼を代表する老舗ブランドです。
創業は1779年(安永8年)まで遡り、戦後の1958年に現在の株式会社が設立されました。中でも白山陶器は「特別な器」ではなく、毎日の食卓で無理なく使い続けられる器づくりを大切にしてきたブランドです。その姿勢こそが、世代を超えて選ばれ続けている理由と言えるでしょう。
伝統ある波佐見焼に現代的なデザインを取り入れながら、シンプルで飽きのこない器を数多く生み出しています。
(1)時代を超えて評価されるデザイン
白山陶器の器は、長年使っても色褪せないデザイン性が高く評価されており、
◎グッドデザイン賞
◎ロングライフデザイン賞
など、数々の賞を受賞しています。これらの賞は、見た目の美しさだけでなく長く使い続けられる実用性や暮らしへのなじみやすさが評価されたものです。使うほどに良さを実感できる点が、「飽きのこないデザイン」と言われる理由でもあります。

長い歴史の中で白山陶器が一貫して守ってきたのは、時代が変わっても暮らしの中で役立つ器をつくるという考え方です。その想いは、現在の製品づくりにもはっきりと表れています。
(2)大切にしているのは「使いやすさ」
白山陶器が掲げているコンセプトは「なにより使いやすく生活の中になじむ器」。
華美すぎず、かといって平凡すぎない。
流行に左右されないデザインを追求し、世代を問わず使い続けられる器づくりを行っています。

白山陶器が日常使いの器として支持されている理由のひとつが、長年作り続けられている定番シリーズの存在です。買い足しやすく、世代が変わっても使い続けられる点が特徴です。
(3)代表作のG型醤油差し
白山陶器の代表作として知られるのがG型醤油差しです。
シンプルで機能的な美しさから「見たことがある」という方も多いロングセラー商品です。実用性と上品なデザインを両立し、和洋中を問わずどんな食卓にも自然となじみます。
価格:1980円 |
(4)人気シリーズのブルーム

白山陶器には日常使いしやすい人気シリーズが揃っています。中でも…
ブルーム
◎白磁に藍色の花模様が映える華やかなシリーズ
◎職人による手描きの絵付け
◎北欧風のモダンな柄で、和洋どちらにも使いやすい
価格:4840円 |
(5)定番の平茶碗(ひらぢゃわん)
◎浅めで口径の広い独特の形状
◎盛り付けの自由度が高く、料理を選ばない
◎日常使いしやすいお茶碗として人気
いずれも電子レンジ・食洗機対応の丈夫な磁器製で、現代の暮らしでも扱いやすい点が支持されています。
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使いやすさと上質なデザインを兼ね備えた白山陶器の器は、日々の食卓にすっと溶け込み長く使い続けたくなる魅力があります。「毎日使うものだからこそ良いものを選びたい」そんな方にとって、白山陶器は安心して選べるブランドと言えるでしょう。
2. マルヒロ(HASAMI)とは?若者に人気の理由
マルヒロは、昭和32年(1957年)創業の波佐見焼の産地問屋をルーツに持つ陶磁器メーカーです。白山陶器が「使いやすさ」を軸に長く愛されてきた存在だとすれば、マルヒロはデザイン性と発信力で新しい波佐見焼ファンを広げてきた存在です。
自社工場(窯)は持たず、デザイン企画や卸売・販売を担うプロデュース型の企業として、波佐見町内の職人や窯元と協力しながら器づくりを行っています。
この体制により、マルヒロは特定の窯に縛られず、アイデアやデザインを柔軟に形にできる強みを持っています。伝統技術を活かしながら、時代に合った器を生み出せる点がマルヒロならではの特徴です。400年以上続く波佐見焼の分業制を土台に、現代の感覚で新しいブランドを生み出してきた存在と言えるでしょう。
(1)若者人気のきっかけ|HASAMIシリーズ

マルヒロを全国区の人気に押し上げたのが、自社オリジナルブランド HASAMI(ハサミ) です。
2010年に発表されたHASAMIは、1960年代のアメリカのレストランで使われていた大衆食器をコンセプトにしています。HASAMIが支持された理由は、それまでの「波佐見焼らしさ」をあえて裏切った点にあります。
◎カラフルでポップな色使い
◎厚手で無骨なデザイン
◎プレートやボウル、マグなどが共通サイズで統一
見た目のインパクトだけでなく、使いやすさと収納性まで考えられている点が、日常使いの器としても評価されました。
重ねて収納できる高い機能性
従来の薄手で繊細な波佐見焼とは異なり、あえて厚みのあるしっかりとした作りにすることでHASAMIならではの存在感を生み出しています。
ビビッドなカラー展開も相まってSNS映えする器として人気が広がり、アパレルショップや雑貨店でも扱われるようになりました。
自宅でHASAMIのマグやプレートを使い、カフェ風の食卓を楽しむ人が増えたことも若者層に浸透した理由のひとつです。
価格:1760円 |
(2)もう一つの柱|BARBAR(バーバー)

マルヒロは、もう一つのオリジナルブランドBARBAR(バーバー) も展開しています。ポップで現代的なHASAMIとは対照的に、BARBARは波佐見焼の伝統的な魅力を今の暮らしに落とし込んだブランドです。
BARBARは、2011年に「馬場商店」としてスタートし、2017年に現在の名称へとリブランディングされました。

このようにマルヒロは、ポップで現代的な HASAMI と、伝統を今に活かす BARBAR という二つの軸で展開しています。デザインで遊び心を楽しみたい人にはHASAMI、和の落ち着きを大切にしたい人にはBARBARが向いています。
異なるテイストの器をそろえることで、幅広い世代や暮らしに対応している点も、マルヒロの特徴です。
3. 一真窯とは?手彫りの美しさと現代的センスの魅力
一真窯(いっしんがま)は、繊細な手彫りの模様で人気を集める波佐見焼の窯元です。
1988年創業と比較的新しい工房ながら、伝統技法と現代的な感性を融合させた器づくりで注目を集めています。

最大の特徴は、特殊な道具「カンナ」を使った独自の手彫り技法。白磁の美しさを活かしながら、他にはない表情を持つ器を生み出しています。
(1)カンナを使った手彫り模様の技法
一真窯の器づくりは、白磁の生地に一つひとつ手作業で彫りを入れる工程から始まります。
職人は30種類以上もの形状の異なるカンナを模様に応じて使い分け、力の入れ具合や彫るスピードを微妙に調整しながら模様を刻んでいきます。
こうして生み出される手彫りのパターンは、同じものが二つとないほど表情豊かです。彫刻によって生まれる陰影が、白一色の器に奥行きを与え、光の当たり方によって印象が変わるのも大きな魅力と言えるでしょう。
価格:1870円 |
(2)シンプルで使いやすいデザイン性
一真窯の魅力は、手仕事の美しさだけではありません。立体的な模様を持ちながらも、全体のフォルムはあくまでシンプル。装飾に頼りすぎず、余白を大切にしたデザインのため、料理を盛り付けたときに主役を引き立てる器として高く評価されています。
見た目は繊細でも素材は磁器のため、丈夫で扱いやすいのも嬉しいポイントです。日常使いのカップやお皿として、気負わず使える安心感があります。
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(3)和洋問わず現代の暮らしにマッチする器
一真窯の器は、和食だけでなく洋食やスイーツとも相性が良く、現代の食卓に自然となじむ点も支持される理由です。
例えば、放射状の線彫り模様を施した白いプレートは、和菓子を載せても、ケーキや焼き菓子を載せても絵になると評判です。
近年では、白磁の手彫りに加え、上絵付けや色釉を取り入れたシリーズも登場し食卓のアクセントとして楽しめる器へと表現の幅を広げています。

派手さはありませんが、使い込むほどに愛着が湧く飽きのこない佇まい。「ちょっと良いものを、日常の中で使いたい」そんな人に寄り添う存在が、一真窯の器と言えるでしょう。
4. 白山陶器・マルヒロ・一真窯を横並びで比較|違いと選び方のポイント

ここまで見てきたように、波佐見焼は同じ産地でもメーカーごとに目指している方向性が大きく異なります。
◎王道の定番として長く使える器
◎デザイン性で暮らしを彩る器
◎手仕事の温もりを感じられる器
という視点から、白山陶器・マルヒロ・一真窯の3社を分かりやすく整理してみましょう。
(1)白山陶器・マルヒロ・一真窯 比較表
| 比較項目 | 白山陶器 | マルヒロ | 一真窯 |
|---|---|---|---|
| 立ち位置 | 王道・定番 | デザイン重視 | 手仕事・温もり |
| 器づくりの考え方 | 毎日の暮らしで使いやすいことを重視 | 暮らしを楽しむプロダクトとして提案 | 手仕事の表情を大切にする |
| デザイン傾向 | シンプル・主張しない | カラフル・現代的 | 染付・やさしい表情 |
| 食卓の印象 | 料理を引き立て、整った印象 | 器がアクセントになる | 落ち着きと温もりが出る |
| 得意なシーン | 家族の食卓・日常使い | 一人暮らし・カフェ風 | 和食中心・家庭料理 |
| 向いている人 | 失敗したくない人 | 食卓の雰囲気を変えたい人 | 器に表情を求める人 |
(2)白山陶器・マルヒロ・一真窯 の違いと選び方
白山陶器・マルヒロ・一真窯は、どれも波佐見焼を代表する魅力的な窯元ですが、目指している方向性は大きく異なります。
比較表で見てきたように、価格・デザイン・個性・使い勝手のバランスはそれぞれ違い、優勢ではなく”相性”で選ぶ器だと言えるでしょう。
◎長く使える定番を探している人→白山陶器
◎食卓に遊び心や今っぽさを取り入れたい人→マルヒロ
◎手仕事の温かみや一点もの感覚を楽しみたい人→一真窯
どんな食卓を作りたいか、どんな気分で料理をしたいかを想像すると、自分に合う窯元が自然と見えてくるはずです。

白山陶器・マルヒロ・一真窯は、それぞれ異なる魅力を持つ波佐見焼の代表的な存在です。
今日の一枚が、日常を少しだけ心地よくしてくれる。そんな器選びの参考になれば幸いです。
5. まとめ
◎ 同じ波佐見焼でもメーカーごとに個性は大きく異なる
▶︎ 丈夫で使いやすいという共通点がありながら考え方やデザインの方向性はさまざま。
▶︎ 実用性・デザイン性・手仕事など重視する視点によって器の表情が変わる。
◎ 白山陶器・マルヒロ・一真窯、それぞれの強み
▶︎ 白山陶器は毎日の食卓で長く使える王道の定番。
▶︎ マルヒロはデザイン性と発信力で食卓に楽しさをもたらす存在。
▶︎ 一真窯は手仕事の温もりと静かな存在感が魅力。
◎ 選ぶ基準は「好み」より「暮らし」
▶︎ どんな料理を作りどんな時間を過ごしたいかを想像することが大切。
▶︎ 自分の生活スタイルに合うメーカーを選ぶことで、器はより心地よい存在になる。
◎ 知って選ぶことで器との付き合いはもっと楽しくなる
▶︎ 背景や考え方を知ることで器への愛着も深まる。
▶︎ 日常を少し整えてくれる一枚に出会うきっかけになれば幸い。
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この記事の監修 長谷 有希央
◎安眠インストラクター
◎睡眠&寝具インストラクター
◎健康経営アドバイザー
◎中小企業診断士 の資格を持つ「眠りと健康経営の専門家」です。


